日常は崩れ去る【アクセル】(リクエスト) ページ38
「ひっ……!」
壁に背を向けたその子の顔の横に、ダンッと大きな音を立てて手をついてみる。
その行動に小さく声をあげ、肩を大きく揺らしたAは、不安げな表情でこちらを見上げた。
まるで子動物のようなその子の反応に、いつものお返しをしてやりたい所だが……生憎俺は今結構ムシャクシャしている。
「何で俺が怒ってんのか解るか?」
そう訊くと、口をつぐみながらも首を横に振るA。
完璧に何も分かっていなさそうなその仕草に、俺は大きく溜息を吐き、顔を一層近付けてその子をジッと見据えてみた。
普段は見せる事の無い俺の様子だからか、その子は只々困惑するばかり。
……全く、自覚はあるんだか。
暫く見ていると、段々と視線を彷徨わせてそのまま俯きそうなその顔を、無理矢理こちらに向けさせる。そして、俺は問いかけた。
「……じゃあよ、一つ確認だ。
お前は俺のもんだよな」
「あ、ああ……」
どうやら、そこんところはわかっている様子。
この状態ながらも、少し頰を赤らめてそう言ったその子に、俺の事を見てくれている事実を確認する事は出来た。
……だとしたら
「……だったら、わざわざ他の奴の所に行くな。
俺がいるなら、あいつらと関わる必要もねェだろ?」
俺は見てるんだからな。 お前の事をいつまでも。
シグバールに悪戯の仕返しをしようとするA
ルクソードとゲームで戯れるA
ロクサスとシオンを温かく見守るA
ザルディンに稽古をつけてもらうA
ゼクシオンに本を借りるA
ラクシーヌに着せ替え人形にされるA
レクセウスの側ですやすやと眠るA
マールーシャに色々な花を貰うA
デミックスに抱きつかれるA
ヴィクセンに怪我の治療をしてもらうA
サイクスと任務の話をするA
……お前が俺以外とそれは楽しそうに話を交えているのを、俺は知ってるんだよ。
「なあ、A」
それを見る度に、無いはずの心がある胸をいっそ引き裂いてしまいたいくらいの苦痛に襲われる。
……いつか勢いでお前諸共消してしまいそうな衝動に駆られる事になるだろうな。
それは俺もあまりやりたくは無い……そうなると、俺の為にも、お前の為にも先手を打っておくのが一番だろ?
「約束しようぜ」
そう、これが一番だ。
Aの日常を壊す事になるだろうが、その分俺がそれ以上に補ってやるからよ。
だからよ……頼む、A。
「俺以外と関わるな」
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです!完走おめでとうございます! (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェトルクス | 作成日時:2019年1月25日 0時