君だけでいい【ナミネ】(リクエスト) ページ35
いつもの白い部屋で、ソラの記憶を繋ぎ直して、彼らの記憶から絵を描き起こして、只々外を眺めるだけ。
そんな孤独で退屈を覚える日々が続いていたけど、ある時を起点にそんな私の考えは変わった。
この毎日が、永遠に続けば良いなぁって。
そう思えるくらい幸せな時間が私に訪れた。
「おー！ やっぱりナミネは絵が上手だなー」
「え……あ、ありがとう、A」
いつも通り絵を描いていると、一緒にお部屋でのんびりしていたAが不意に覗き込んでくるなり、笑って言った。
褒められたのが嬉しくて、照れ臭くて、ちょっと吃ってしまったけれど、ついつい私の口角は上がってしまう。顔に熱が溜まるのが分かった。
Aはソラと一緒に旅をしていた。
直前で別れた為に忘却の城には来なかったけど、世界を救った人達の一人だ。
その子は不思議で、記憶の鎖を解いたというのにソラの事を忘れなかった。本人もあまり分かってなくて首を傾げていたけど……個人的には、忘れてた方が良かったな、なんて。
とにかく、ソラの状態を訊いたり、私と話す為に来てくれるその子。Aはこの白くて無機質な部屋を暖かく染める太陽の様な存在で、私の心を明るく照りつけていた。
「……行っちゃうの？」
ある時、いつもより早く帰る準備をし始めたその子に私は問いかける。
「ああ……新しく出来た友達に会うんだけど、ナミネも行くか？」
「ナミネもきっと仲良くなれると思う！」 と、自信を持って言ったA
……新しい友達。前の私だったら欲しいとは思えただろう。
けれども、今の私にはAがいるから……寧ろ、余計なものとして眼に映ることは明白だった。
「ううん、私はいいや」
「そっかー……じゃあ、もう行くな」
手を振って出て行くAに、私も手を振り返す。
その子が屋敷の外に出て、森の奥に消えて行くまで私は窓から見ていた
「……ハイネさんとピンツさんとオレットさんだっけ」
あの子の新しい友達というのは。
私、知ってるよ。君は知らないだろうけど、私はいつでも君の事を見ているから。
「……やだなぁ」
流れてきた記憶にそう言って口を尖らす。
今だって、君はあの人達と楽しそうに遊んでいる。ああ、とっても嫌な気持ちだ
……今度あの子が来た時は、もう二度と帰れない様にしよう。私が側にずっと居られる様にしよう。
縛って縛って……逃げられない様に。
そんな重苦しい考えが頭の中を渦巻くまま、私は白色のカーテンを閉めた
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (
レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです！完走おめでとうございます！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェトルクス | 作成日時：2019年1月25日 0時
