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一緒とは?【ソラ】(リクエスト) ページ19

「ソラー、くすぐったいー! はーなーれーてー!」


無邪気に笑いながらも、俺の腕の中でジタバタと危なくない程度に暴れるA。
後ろから抱きしめるその子の体温は暖かくて、そこは唯一心から落ち着ける場所の様な気がした。


「……ずっと一緒にいたいなぁ」


その子の肩に頭を押し付けてふと、小さくそんな事を呟く。
至近距離だったからか、こぼした言葉はその子にも聞こえていた様で。その子は動きを止めると、小さく溜息を吐いて笑った。


「……なーに言ってるの! 私達、いつも一緒じゃん!」

「えー……?」


……そう言われてもなぁ。

確かに、俺とAは初めて出会ったあの時から、ずっと共に冒険をしている。共に助け合いつつ今まで戦ってきたんだ。
……でも、何だかそれじゃあスッキリしない。
その子の体温を真近に感じられる程近くにいても、それを一緒、と言うにはどうにも引っかかる気がした。


「ソラ!いつまで抱きついてるのー! 」

「……! うわわっ!ごめんって!」


痺れを切らしたのか、その子は後ろ手に髪をわしゃわしゃと乱してきたので、思わずその手を離す。
離れたその時に触れた空気は、とても冷たかった。


「ほら、先行こうよ!」

「……ま、まって」


いつも通り朗らかな笑顔を見せて俺に手を差し伸べるA。
けれど、その時は何となくその笑顔がいつか散ってしまいそうな儚げなものの様にも思えて、口からそんな言葉が溢れるんだ。

その瞬間、不安と何かの感情が心の奥底から湧き出てくる。そして、不意に俺はその子の手を掴むと、そのまま胸元まで引き戻した。


「わわっ! ……どうしたのソラ?」

「……わかったかも」


その子を再び抱きしめると正面だからか、一定のリズムを刻む心音が聞こえてくる。


……そうだ。心と心がまだ遠いんだ。

[一緒]という言葉に違和感を感じていたのはきっとそれだった。愛しいこの子とこうやって話したり、抱きしめたりしても満ち足りなかったのはきっとそのせいだったんだ。

……この子とずっと一緒にいるには。


「……ごめん、A」

「……え? 何……ゔッ!? 」


俺はキーブレードを持つと、その子の空いた背中に思い切って突き刺す。
そして、俺はその子の心の扉を開けた。

俺の服を掴む手が地面にだらんと落ちた。


「…そ、ら…?」

「俺の心に来てよ、A。
そしたら、ずっと一緒に居られる」


俺の心の中へ、おいでよ。
最後に、その子の消えゆく体にキスを落とした。

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設定タグ:キングダムハーツ , ヤンデレ・狂愛 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです!完走おめでとうございます! (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フェトルクス | 作成日時:2019年1月25日 0時

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