マーキング【デミックス】(リクエスト 甘) ページ12
サイクスに報告書を提出し、今日のやる事は終わり。と、俺はロビーのソファーにゆっくりと寛いでいた。
「そういや、こんな時間だしAも任務から帰って来てるよなー……よし、捜そう!」
善は急げとも言うので、俺はソファーから勢いよく立ち上がると、駆け足で大好きなあの子を捜しに行く。
その時のロビーにいた奴らの迷惑そうな顔なんて俺知らなーい!
勘に任せて暫くバタバタと走っていると、前方にあの子が見えた。だから、まだこっちに気付いていない背中に、俺は思い切り抱きつく。
「Aーっ!」
「わっ!……何だお前か」
可愛い声で驚くも、俺を見た途端に無心に戻るA。そんなツレないその子を目一杯抱きしめると、首元に顔をうずめた。
ふんわりとしたあの子の優しい匂い。
それは、あの子がすぐ側にいると思えるから。すっごく落ち着けるので、俺はAの匂いが好きだった。
けれども、今日は何かが違う。
「……あれ?」
「……っ離れろ……! 擽ったい!」
不意に感じた違和感に、ジタバタと暴れるその子を抑え込みながらももう一回確認してみる。
……うん、やっぱり違う匂いがする。
いつものこの子の匂いに交える、花の香り。 それはこの子に似合っているけど、何でかやけに気に入らなかった。
「……A、香水か何か付けてる?」
「?私は何も___! いや、そういえば今日、マールーシャに香水を貰ったんだった」
どうせなら一回は付けたほうが良いと思ってな、と満更でも無さそうな表情で語るAに、俺の中の何かが動く。
……他の奴の匂い。
それがこの子に付いていると考えるだけで、胸の辺りを抉れる程に掻きむしりたい衝動に駆られた。
「……どうせだったら、俺が」
「……如何した?」
俺はこっちを向いて首を傾げる、その子の白い首筋をじっと見遣る。
……どうせならば。
「……その邪魔な匂いを消して、俺が新しくつけてやるよ」
いつものあの子の匂いに、俺の匂いを交えて、混ぜて……そうすれば……ほら、一緒になれるしな。
……まあ、こんなもんただのこじつけだよ。
本当は腹が立っただけだし。
だから、俺はその子の首筋に強く、それは強く噛み付いた。血が出ようとも構わない。その子に深く刻み込まれるならそれで良い。
……これは印、だ。
まるで飼い犬の様に、好きなものに跡を付けるだけの事なんだ。
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです!完走おめでとうございます! (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェトルクス | 作成日時:2019年1月25日 0時