目 黒 先 生 の 独 占 欲 。

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「………こっちの方が、思い出
いっぱい詰まってるやん？

…せやから、勿論！新しく作るのもええけど…
俺は、これが一番しっくり来る」








さっきさ、康二くんよりもこの指輪に
思い入れあるって言い切ったけど、撤回する。


康二くんの方がよっぽどこれに
感情移入？してる。






たった1つの、何気ない考えで買った物に
こんなに色んな感情が混ざるなんて。




当時高校3年生だった
俺には、到底想像できない。







……確かに、嵌めて
また外すのも寂しいしね。






でも…これだけっていうのもつまらない。







「分かった。康二くんがそれで良いなら、
それにしよ？けどまたプラスで新しく作ろ。

これは俺らの過去で、新しく作る方は
俺と康二くんのこれから先の、

未来の物語ってことでどう？」


「………うーん」








作らないなら作らないで良い。

康二くんの言ってることも理解出来るから。





でも、俺はやっぱり欲しいんだよね。



しっかりさせたいんだよ
そーいうとこだけ。





ペアじゃあんまり、『あ、結婚したんだ』って
なりそうもない。少なくとも、俺の場合は。









「…そうやって考えたらさ、
なんか……欲しくならない？」


「……まあ、そうやなぁ」









『結婚指輪』なら、
俺もちゃんとけじめつけられるから。

守らなきゃ、って思えるはずだからさ。








「…………指輪、作りに行かんとな？」







眉に皺を寄せて考える素振りから、
突然コテン、と首を傾げて微笑む康二くん。






折れてくれたことによっしゃ、と思わず
ガッツポーズしそうになるのを

必死に堪えて微笑み返す。






1つ気付いたことがある。



会わない内に康二くんのあざとさが
急激に加速した気がするってことに。





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