171 ページ24
・
だめだ、君に、
私はまだ、会いたい。
「……どうした、？」
君の姿がちらついて、思わず下を向いて唇を噛んだ
そんな私の様子を見て、心配そうな永瀬廉
「気分、悪いん、？」
永瀬廉は、止まれ、と言うように歩いていた私の前に回り込んだ
はぁ、と浅い息を吐いた私を、ぐっと見つめるその目
「…………なんでも、ないです」
「いや、顔色悪いで？」
「……ほんとに、大丈夫なんで、」
「あ、え、ちょい待て！」
するりと永瀬廉の横を通り過ぎた
だめだよ、今、優しくしないで。
そんな私の願いもむなしく、
「なあ！」
後ろから追いかけてくる、その人は
「心配なんやけど、」
そう言って、すぐに追いついてくる
「…………」
「………なんか言えって、」
ほうっておいてほしかった。
そうしてくれないと、どこかで何かを間違えてしまいそうだから。
やっぱり私は、
海人くんを、過去のことなんかにできてないんだ
人と話していると、人の優しさに触れてしまうと、
どうしても、あの夏のきらめきを思い出してしまう。
「…………」
ついに一言も話さない私をじっと見ていた永瀬廉まで、何も言わなくなってしまった
愛想をつかして、つまんな、って言って、
いっそのこと先に帰ってほしかったのに、
「…………どうして、居るんですか、」
永瀬廉は私の横を歩き続ける
「ほんまに…つれないにも程があるやろ」
呆れたようにその人は呟くと、
「…………さっきそっちが、駅まで、って言ったやん」
そんな風に私のせいにする。
だけど本当は、心配してくれているんだろうな。と、わかって申し訳なかった
その後、駅まで私たちは一言も話さなかった
駅の改札に着く
「どっちなん？方面」
「こっちです」
「あ、逆やな、」
少し残念そうな永瀬廉
「………じゃあ、行きます」
そう言って背を向けようとした私に、永瀬廉は
「ちょっと待てって、これ、」
そんな風に声をかけると、小さな紙切れを私の手に握らせる
「家帰っても気分悪かったら、連絡して」
渡された紙には、連絡先。
「……じゃ、お大事に」
永瀬廉はパッと手を振ると、反対側のホームへと消えていった
ねえ、だから、
優しくしないで、って。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 562人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
zzz(プロフ) - ここまでイッキ見してしまいました。廉先輩の様な厳しくも温かい優しさに触れあえて主人公ちゃんは幸せだよね…。どうか、みんなにとって最高な結末が待っています様に。 (2020年10月14日 19時) (
レス) id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
バカさん(プロフ) - 詩愛さん» 待つだけで涙出てきます (2019年12月23日 21時) (レス) id: dcf79e1d34 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - バカさんさん» ありがとうございます！そんな風に言って頂けてとても嬉しいです…まだまだ泣ける展開がありそうですが、最後までよろしくお願いします^^！ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - みるちゃ。さん» いつもありがとうございます！好きだと言っていただけて本当に嬉しいです…これからも素敵なストーリーをお届けしますので、最後までよろしくお願いします^^ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - みるちゃ。さん» いつもありがとうございます！好きだと言っていただけて本当に嬉しいです…これからも素敵なストーリーをお届けしますので、最後までよろしくお願いします^^ (2019年12月23日 21時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2019年11月18日 19時
