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そして、その年の夏
「お母さん、お父さん。卒業後のことなんだけど」
夜ご飯を食べ終わったあと、
食器を片付けていた両親に、私は声をかけた
ふたりは顔を見合わせ、不安気に私に視線を戻す
「………あの、大学進学、をね、」
まだ不安そうなふたり
少し言いにくい雰囲気を察し、私は一度、口をつぐんだ
「………A、無理して進学を考えなくてもいいんだからな。」
「そうよ、ゆっくり家に居て、その先のことをまた考えてもいいのよ。」
ふたりは柔らかく私を見つめ、優しい選択肢をくれる
だけどそれは少し、私の選ぼうとしている未来とは、
違うものだった
「………うん、その気持ちも嬉しいんだけどね、」
「私、行きたい大学があるの。」
はっきりと告げた、自分の意思。
ふたりがまっすぐに、私を見つめている
「………学びたいもの、私見つけたんだ。」
「本当は進学諦めようかなって、思ってた。だけど、」
「興味があって、知りたい分野ができたから。」
私の言葉に、両親は少しばかりその瞳を潤ませた
「………どんなことを、勉強したいの？A」
優しい、母親の声
「うん、私、天文学やりたくて。」
「………天文学か」
「そう。星とか、勉強したいの」
初めて伝えた、私のやりたいこと。
両親は嬉しそうに、うんうんと頷き、
微笑んでくれた
「天文学部があるところに、進学したいのね？」
「うん、そうです、」
「………なるほど。止める理由がないな、母さん」
「そうね、Aがやりたいことなら。」
少し、反対されると思っていたのに、
ふたりはただただ微笑み、
私の夢を、肯定してくれた。
「………えっと、じゃあ、」
「頑張りなさい。勉強も、受験も」
「、……ありがとう、お父さん。私、頑張るね」
ぐっと握りしめた手のひら
嬉しくて、じわじわと心の中に暖かい気持ちが広がる
夜の星たち。それは私と君の、大切な記憶。
あの夏の星空を、中庭からふたりで見上げた夜
外の世界の話をして、手を握りあって、
寄り添いあった、何にも替えられない時間。
その思い出を、あの頃の想いを、
私は、忘れることができなかった。
だから、学びたいと思った。
もっと知りたい、触れたいと思った。
廉さんを、あの優しさを、
忘れることが、できないように。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
