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そして、次の春
私はひとり、高校3年生の歳になった。
「大丈夫？ひとりで行ける？」
「地図、あるから。」
あのあと、大きな体調不良もなく、病院を退院することになった私
今日は、新しく転校してきた高校に行くことになっていた
玄関で、心配そうな親に向かってなんとか笑ってみせる
新しい学校は、毎日通うわけではなくて、
基本は家で課題をして、決められた日に登校する
そんなタイプの、高校だった。
「終わったらまっすぐ帰るのよ」
「わかった。いってきます」
「気をつけてね、」
母親に手を振り、ひとりで外に出てみる
眩しい太陽光に目を細め、
暖かい空気の中、鈍っていた足を動かした
世界は、そこにあった。
目に飛び込んでくるものは、どれも新しくて
思わずいろいろと、見回してしまう
行き交う人々、車のエンジンの音
すべてが私の、目の前にあって、
すべてが鮮明に、視界に入ってくる。
廉さん、私、
外の世界に、出たよ。
君と会えなくなったあの日から、
何度も頭の中だけで呼んだ、その名前
目を閉じれば、柔らかく微笑むその姿が浮かんで、
気を抜けばまた、泣いてしまいそうになる
君は今、どこにいるの？
まだ病院にいる？それとももう、退院したかな。
元の居場所、見つけられたのかな。
私のこと、
覚えてる、かな。
考えれば考えるほど、目頭が熱くなる
目の前には、アスファルトで舗装された道
腕時計を見れば、時間が迫ってきていた
「………行かなきゃ、」
そう、進まなきゃ。
私の居場所は、どこにもないかもしれないけれど、
誰ひとり、知り合いはいないかもしれないけれど、
私は、立ち止まっていられないから。
ぼんやりと頭の中をかすめていく、
廉さんの表情、視線、温度、言葉
何もかも、大切だった。
駅に向かう道は、
いろいろな雑音が耳に流れ込んできて
少しだけ、耳が痛くなる。
思わず塞ぎたくなったけど、ぐっと堪えた
ここで生きていくの、私は。
ここが私の、新しい世界だから。
視線を上げて、前を見つめ、
ゆっくりとまた、足を踏み出す
廉さんに、もう会えなくても、
私はきっと、ずっと。忘れないと思う
彼のことも、それから、
あのふたりきりで過ごした、
真っ白な、世界のことも。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
