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「………行こか。」
「買わないの？」
「ん。ちょっと見たかっただけやから。」
しばらく海の写真を眺めたあと、廉くんはそのガイドブックを閉じる
きっと廉くん、海が好きなんだね。
だってわざわざ、海の写真が見たくなって本屋さんに寄っちゃうんだもん。
お店から出て、私の少し前を歩くその細くて大きな背中を見つめる
今日は、いろんな君を知れたな。
最初はちょっと緊張していたけど、ふたりきりがこんなに幸せで楽しいってこと
ふたりで帰らなくなってから、すっかり忘れてた
その時、ふと腕時計が目に入って、朝の親の顔を思い出してしまう
「………廉くん。そろそろ帰ろっか」
「……そうする？」
「うん、ごめんね？あんまりゆっくりできなくて、」
「いや、別に、」
君の顔が少し寂しそうに歪んだ
廉くんも、もう少し一緒にいたいと思ってくれてたなら、いいな。
帰りの電車、車内のキンキンに冷えた空気は、外の熱気と正反対で、夏特有の爽やかさを感じる
「A、あっちの席空いた」
「あ、ほんとだ、」
廉くんが指差したのは、ふたり分の空いた席
ふたりでそこに座ると、さっきまでよりもずっと、近い距離に君が居て。
手を伸ばせば触れられる距離、それにどうしようもなくどきどきしてしまった
「廉くん、今日本当にありがとう」
「いやいや、」
「なんか、うん……すごい、楽しかったよ、」
「……そっか。」
突然、さっきよりもぐっと近づいた君という存在を意識しすぎて、うまく話せない
だけど廉くんはいつものように落ち着いていて、私のつたない言葉をしっかり受け取ってくれた
「……やっぱり違うよ、」
「ん、何が？」
「今日の廉くん、いつもと違う。」
「……それは…なんやろ、」
そこで廉くんは、少し照れ臭そうに顔を背けて、
「………少人数の方が得意やから。それも、あるかも。」
って、いつかも話してくれたことを繰り返す
その少人数という言葉、それは、
なんとなく、”ふたりきり“、っていう意味な気がして。
私はまた、嬉しくて幸せな気持ちになるんだ。
「………じゃあまた、少人数で会おうね。」
ふたりで、なんて。わざわざ言わなくても、君はわかったでしょ？
目を合わせると、となりの君は、
「……別にええよ、」
って、やっぱり照れ臭そうだった。
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詩愛(プロフ) - reeeinさん» ありがとうございます、、、！！どうぞ最後までお楽しみください！！よろしくお願いいたします！ (2020年9月29日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
reeein(プロフ) - もう、詩愛さんは天才です、私が保証します、天才です、、、続き楽しみにしてます、、！！！ (2020年9月28日 23時) (レス) id: 713e35c5a6 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - さとひとさん» 嬉しいです〜ありがとうございますT_T 第二章もよろしくお願いいたしますね！ (2020年7月27日 12時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - 雪さん» 毎日ありがとうございます！更新頑張りますね！第二章もよろしくお願いいたします！^^ (2020年7月27日 12時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
さとひと(プロフ) - とてもキュンキュンしながら読ませていただいています！好きすぎて何回も星を押してしまいます、、。明日の公開楽しみにしています！ (2020年7月27日 0時) (レス) id: df351be635 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年6月29日 14時
