蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ6)

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そんな私のチョコレートばかりの毎日に、

ときめきは突然、隠し味のように現れた

「じゃあ2人、今日はこのプリントを全部出席番号順に並べておいて。よろしくね」

ある日の放課後、私たち学級委員はいつものように雑用を任された

「わかりました」

誰もいなくなった教室で、2人で机を向かい合わせにくっつける

「じゃ、今日もがんばりますか～」

腕まくりをする神宮寺くんに、頷く私

「ささっと終わらせちゃおうね」

「そうしよ。……あ、そうだ。これもう食べた？」

突然、神宮寺くんがカバンから新作のチョコ菓子を取り出した

「あ、それ今日発売のだよね？まだ食べてないな…」

「お、ほんと？それならよかった。一緒に食べようと思って、昼に買っておいたんだよね」

一緒に。

その言葉に、どうしてもどきどきしてしまう。

「……嬉しい。ありがとう」

「どういたしまして。食べよ？」

ひとかけら受け取って、君と同時に口に入れた

「………！なにこれ美味しい、」

「ね、まじでうまいね？」

興奮気味の私たち

今日のチョコは、いつもより甘い。

君と一緒に。食べるからかな。

「………あ、そうだ。そういえばさ、」

しばらくチョコを2人で食べ進めていると、神宮寺くんがまた何かを思い出してケータイを取り出した

「俺この前こんなの見つけたんだよね」

こちらに向けられたケータイの画面。そこには、

「………チョコレートフェスティバル？」

イベントの、サイト。

「そう、チョコがいっぱい食べられるイベントなんだけどね？」

そこで、パッと君と目が合う

「行きませんか？俺と一緒に」

最初、何を言われたかわからなかった

俺と一緒に？誰が？

目をパチパチさせる私を見て、神宮寺くんは顔を横に向けてククッと笑う

「Aちゃん、俺と一緒に行こうよ」

やっと頭が追いついて言葉を理解すると、途端に顔に熱が集まった

「あーあ、真っ赤じゃん笑」

「え、っと」

「はいか、いいえで答えてくれればいいから。もう1回聞くね。俺と一緒に、このイベント行かない？」

静かになる教室

グラウンドから聞こえる野球部の声

「……はい、」

絞り出した小さな私の返事を、君はしっかりと受け取って微笑む

「やった。嬉しいよ、ありがとう」

私たちは初めて、

2人で出かける約束をした。