蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ41)

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「いつも俺の話とか、夢とかにちゃんと理解しめしてくれてさ、」

「……そうだったっけ、」

「そうだよ。覚えてない？」

君の目尻にくしゃりと、シワがよる

ううん。本当は、覚えてるの。

誰よりも君の、1番の理解者でありたかった私は、

必死に、君の声を聴いてたんだもん。

「俺にとって、ほんとにAの存在はありがたかったよ」

「………」

「委員会も、すっごい一生懸命に仕事してくれたし、」

「それは、なったからにはしっかりしなきゃって、思ったからで、」

「そういうとこも、俺は好きだったよ」

ふいにそんなことを言う君もやっぱり、私を意識してる

好きだったなら、どうしてあの日、

自分から私の手を、離したの。

「……今更、って。思った？」

君が切なく、目を光らせる

「………思うよ、」

「………だよね」

ふぅと君が小さく息を吐いて、背もたれに寄り掛かった

「懐かしいね。高校生か～」

窓から外を見ると、塾の帰り道なのか、制服姿の男の子が歩いている

その背中を目で追いかける君

「………あの頃、俺ほんとに毎日学校行くの楽しかったよ」

「そう、だね。」

慎重に相づちを打つ私のことを、神宮寺くんはちらりと見た

「あの時の俺らはさ、」

「まじで、なんか初々しかったよね」

そう。そうだよね。

あの頃の私たちは、そうだった。

黙り続ける私に、君は言葉を続ける

「だって、あれもこれも手探り状態で。ピュアだったよね、付き合い方が」

「………純粋だった、というか、」

「そう、まじそんな感じだった」

同意した私に、君はうなずく

もし、私が君のことを意識していなかったら

こんな話、ただの昔話として、聞き流せるんだろうけど。

「甘酸っぱかった。今思えば」

「私たちも、若かったね」

「だね」

あの頃、恋愛になれていなかった私は、

人を好きになる、ということを知ったばかりだった。

だから、君との関わり方がぎごちなくて、

だけど、それが逆に切なくて、甘くて、

思わず微笑んでしまうような、初々しさがあった。

「………もう、2年？3年？そんなに経つんだね」

神宮寺くんは、私を見つめてそんなこと言う

間違いなく私たちは、

大人になってしまった。