蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ5)

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高校の時、私はチョコのお菓子に目がなかった

「Aちゃんほんとにチョコ好きだよね」

昼休み中、デザートとまでいかないけれど、

そんな気分でチョコのお菓子をつまんでいる私に、クラスメートが声をかける

「うん、すっごい好き！」

「うわ、いい笑顔！笑」

その子が私から離れていくとそこへ、通りがかかりの神宮寺くんがやってきた

「あ、それ今CMいっぱいやってるやつだ」

私が握りしめているお菓子のパッケージを見ながら、私に声をかける君

「あ～そうそう、新発売の！」

修学旅行の時の気まずさは、いつのまにかなくなっていて安心する

君があまりに自然に私に接するから、修学旅行での出来事はまるでなかったかのようだった

「こういうお菓子が好きなの？」

「うん、チョコ大好きでね」

「そうなんだ」

なぜか楽しそうに笑って私を見る君

「今度おすすめ教えてよ」

「いいよ、もちろん」

好きなものの話を出来るのは嬉しい

「ありがとう、楽しみだな～」

神宮寺くんは笑顔のまま私から離れていった

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その日から君は、チョコを食べる私のところに現れてはお菓子の名前を聞くようになる

「今日はなんてやつ？」

もぐもぐする私に爽やかに笑いかけると、君はむかいの机に座った

「これはね、この前食べてたシリーズのホワイトチョコの」

「あ～、あのシリーズか！」

ひとつひとつ捕まえては口に放り込む私の様子を見続ける君

「……おいし？」

うなずく私を見て、君はまるで小さな子を見るように笑った

「俺も今度買ってみよっかな」

「おいしいからすっごいおすすめだよ」

パクパク何も気にせず食べ進めていると、

「………え～、ねえ。俺にも1個ちょうだい？」

そんな風に甘えた声を出す神宮寺くん

「あ、ごめん、食べることに夢中だった笑」

もう、と呆れたように眉毛を動かす君に、袋ごとお菓子を差し出す

「ありがと」

奥の方に隠れているチョコを、君はその指で探るけど、なかなかたどりつかないみたいで。

「とれない、ちょ、ごめん」

突然君は、私の手ごとふわりとパッケージを包みこむ

触れ合った手と手に、胸の高鳴りを覚えた

「あ～、とれた！おいしく頂きます」

何事もなかったかのように頬張る目の前の君は、

もしかして、こういうことに慣れてるのかな。