蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ39)

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そして今、寒い冬の夜、

私に手を振った後、見えなくなっていく君の背中を、

私はしばらく見つめてから、家に入った

あの高校2年のバレンタインの日

私は、君に渡せてよかった、と

心の底から、そう思ってる。

だってあのあと、

バレンタインを、一緒に迎えることは、なかったから。

最初で最後だった君とのバレンタインデーは、

記憶に色濃く残っていて、今でもそれは私の胸を締め付ける

あの時、もし私が君にお菓子をあげなかったら、

君はホワイトデーに私にお返しなんかもしなかっただろうし、

私たちが、始まることもなかっただろう。

そして、

こんなに切ない想いを、することもなかっただろう。

夜、ベッドに沈み込みながら考えるのは、神宮寺くんのこと。

今、大変な時期だよね、君は。

そんな時に私と会っていて、本当にいいの？

再会してすぐの頃、

大事な時だからこそ、会いたいんだと、

まっすぐに私に伝えた君

………なんでかなぁ。

終わったの。私たちは、あの日、

終わった。のに。

それでもどこかで、君の温もりを探してしまう、私がいて。

あの頃のようにまた、君の夢を隣で応援できたら、と考えてしまって。

困るよね。今、私が君に、こんなこと思っても。

だけど君は容赦なく私に近づいてくるし、

そのせいで私たちはこの距離を壊しそうになる。

もう、考えるの、やめよう。

私はそっと、布団にくるまって目を閉じた

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数日後

することがなくて、ゴロゴロとベッドに寝そべっていた私

「………ん～、」

伸びをしながら時間を確認しようと、頭の横にあるケータイを手に取る

画面をつけた瞬間に、目に飛び込んできたのは、

″神宮寺勇太″

君の名前だった。

その名前の下に続くメッセージを、通知欄から読む

「この前は差し入れありがとね」

そんなことで、いちいち連絡してこなくてもいいのに。

そして私はさすがにもう、次に君が言おうとしている言葉を、察した

「今度、いつ会えるかな？」

ほら、ね。やっぱり。

君は私と会って、あの記憶をたどるんだ。

そんな君を拒めないのは、

この私だけど。