蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ38)

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君は、目をそらさない

静かな音楽室に、ただ君のまっすぐな視線だけが残った

神宮寺くんの、気持ち。

わかってるのかな、自信はない。ないけど、

こうだといいな、って。思っていることは、

ある、よ。

「………神宮寺くんの、気持ち、」

高鳴る胸を落ち着けようと、君から目をそらす

「………俺、結構積極的に頑張ったんだよ、」

私の耳に届いた君の声が、かすれていた

「いろいろと口実つけて、Aちゃんと一緒に居たんだけど、」

ねえでも、そんなことって、

「………わかるでしょ？俺の、気持ち」

そんな夢のようなことって、あるの、かな。

君からの贈り物を握りしめたまま、私は何も言えない

どきどきが止まらなくて、心臓がぐわんと飛び出していきそうで。

君の気持ちをどうにか想像してみると、

本当に図々しいけど、答えはたったひとつで。

聴かせてほしい。君の、口から。

「……神宮寺くん、」

君の名前を呼ぶ私の声は、苦しく、そして愛おしさに満ちていた

私の言葉を待つ君をまっすぐに見つめて、

「………教えてください、神宮寺くんの、気持ち。」

君に、そう伝える。

神宮寺くんは、一度瞬きをした後、

「………ちゃんと、聴いててね」

小さく呟いて、優しく優しく、

微笑んでみせた。

その表情を見て、私の想像は確信に変わる

「俺はね、」

大好きな君の声が、この耳に響いて、

「Aちゃんのことが、好きだよ」

その甘い響きが、私の心臓を壊した

君が、私を好き。

そうであってほしいと、望んでいた奇跡のような未来が、

今、私の目の前にある。

「…………Aちゃん、」

君がもう一度、私の名前を呼んで、

「俺に君を、守らせてください」

またまっすぐに私を見つめるから、

秘めていた気持ちが、溢れ出した

「………守って、ください、」

神宮寺くんの瞳が、揺れる

「………私も、神宮寺くんが、好きです」

震え声の告白に、君はうん、と頷く

「ずっと、大切にする」

ホワイトデー、2人きりの音楽室で、

私たちは、付き合うことになった。