蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ20)

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その数日後、私は学校に復帰した

「おはよ～うAちゃん！」

「あ、おはよう！」

久しぶりに踏み入れた教室

早速声をかけてくれたクラスメートに笑顔で応える

「Aちゃんいなくて寂しかったぞ！もう大丈夫なの？」

「うん、もう平気だよ」

「よかった！」

にこにこと私に微笑むその子の背中越しに、神宮寺くんがこっちを見ていることに気がつく

なんだか少しだけ緊張してしまって、すぐに目をそらした私

そこでチャイムが鳴った

「あ、やば！」

バタバタとクラスメートが席に戻っていく

1人になって私も席についた

なんとなく、君のことをこっそり見ると、

もう一度、目が合う。

だけど、次に目をそらしたのは君だった。

多分、あの時の私のなんとなく恥ずかしい気持ち、君も一緒だったはず。

お見舞いに家まで来てくれて、

ぐっと縮まったような気がした、君との心の距離。

私の部屋で交わした言葉たちが、くすぐったくて、

変に緊張して話せなかった、甘酸っぱい記憶。

きっと。きっとだけど。

君も、そうだったでしょ？

ホームルームが終わって、教室移動になる

教室に鍵をかけるために、私と君は最後までその場に残った

ひとり、またひとりとクラスメートが出ていって、だんだん静かになっていく教室

全員が出て行った後、君がやっと口を開く

「………おはよ、」

「あ、お、おはよう、」

たしかに、神宮寺くんと今朝は挨拶もしてなかった。

「体調、もう大丈夫？」

開け放された教室の窓を閉めながら君が聞く

「うん、もうすっかりいいよ」

「そっか」

くすぐったい沈黙。

廊下から、生徒たちの大きな話し声が聞こえた

「……あの、お見舞い、」

「ああ、うん」

「来てくれて、ありがとう。すっごく嬉しかったよ」

私も開いている窓に近寄って手を伸ばす

すると、君の手も同時に動いて、

窓の前で、私たちの手が、触れてしまった。

「あ、ごめん、」

「いや、俺こそごめん、」

君が窓を閉めるのをどきどきしながら見守る

今日は私たち、なんだかお互いを意識しすぎだよね。

「………お見舞い、行くか迷ったけど、」

君は、ふらふら目線を泳がせながら話す

「俺も。会えて嬉しかったよ」

やっと目が合うと、照れたように笑って目をそらす君

そんな君が、好きなんだ。