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その後もぽつりぽつりと会話をする私たち
「今日の小テスト、ほんとむずかったよ」
「そうなの？受けられなくてよかったかも」
「安心してよ、休んだ人は来週受けてもらうって」
「えー…そしたら来週まで休む」
冗談でそう言ったのに、突然神宮寺くんが口をつぐんだ
「………」
君のそのかたまる表情に、なんとなく部屋の空気が冷える
「………どうしたの、」
そんな風に聞いてみれば、いや、と瞬きをして目を伏せる君
「……無理はしないでほしいけど……俺はさ？」
「うん、」
「はやく、学校でAちゃんに会いたい。って、思ってるよ」
まっすぐに伝わる言葉
心臓がどくどくとうるさくなる
「教室にいてくれないと、なんか落ち着かないし、」
神宮寺くんは、ふと微笑んで、
「俺も学校、サボりたくなっちゃうよ」
そんな言葉で、私の胸をきゅんとさせる
「………それは、ダメ」
「だから。早めに治して学校来てね？俺との約束」
君がすっと、小指を差し出すから、
「わかった、」
私もそっと、小指を絡めた
・
「じゃあ…あんまり長く居てもあれだから」
神宮寺くんはそう言って、そっと立ち上がった
「………え、帰っちゃうの、」
寂しいよ。
私の素直な言葉に、君の動きが止まる
ふぅ、とため息をついた神宮寺くんは頭をかいて、
「……もー、帰れなくなるでしょ」
そう言って、ベッドの上の私に近寄った
「神宮寺くん、」
熱のせいか、君がいなくなってしまうことが寂しすぎて、その名前を呼ぶ
君は一瞬、ふと寂しげな目をしたけど、あっという間に自分のカバンを肩にかけた
「………Aちゃん、お大事に」
「……うん、」
「また学校で会おうね」
「………」
返事をしない私を、見つめた君は、
突然、私に向かって、そっと手を伸ばした
少しだけ怖くなって目を閉じると、
「………待ってるから」
小さく君がささやいて、
私の熱いおでこにかかった前髪を、
その冷たく冷えた指で、さらりと撫でた
「おやすみ、またね」
神宮寺くんはまた小さく呟く
そっと目を開けたらそこに君は居なくて、
ちょうど、部屋のドアがパタリと閉まったところだった。
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年2月19日 15時
