乞 ウ モ リ -2-

beg.89 / 全ては、彼の手の中 −A ページ47

走馬灯のように
いろんなことが駆け巡る。




潤ちゃんがいつも居た階段は
5人でよく食べに行く店の近く。

傷を付けられていたのは
いつも顔は無くて、身体だけ。

わざわざ二日酔いなんて連続させなくても
何日か起きなきゃいいだけ。

手首の傷だって、
着替えの相手が俺じゃない場合もある。

あれは、ペアで着替えるとしたら
必ず俺と松潤になることを分かってたから。

それを知ってるのは、松潤しか居ない。




嗚呼、ほら。



何処かに燻っていたんだ、違和感が。




全ては、




この、全ては……




「……最初から、……計画…？」




隠す気なんて、



恨み合いなんて。



本当に、存在したのか。





全ては、



“ 共犯 ” ───────




「───────…何してんの？」




背後から降ってきた声に、
大袈裟にビクついてしまい

抑えられるはずのない怯えを、
そのままにして振り向くと

視界を全て搔っ攫ったのは、
視界を全て、埋めたのは

徐々に口角が緩む、彼。




「……っま、つじゅ…、」




“ 従うしかない ”


そう思わせる為に

最初から、

彼らの願望に

自分達だけのモノに、という、彼らの欲望に


呑みこまれていたとしたら──────




「……何が…、本当…？」




今、

俺に見えているのは、

誰？




弱々しく涙を流す、

彼らの哀(アイ)は




俺が見てきた、

彼らの哀しみは




あれは─────────…




「んふっ、…っふははッ、」









ダレ カ ノ

セ カイ ヲ

クズ ス ナ ンテ

キ ット 、

カ ン タン 。









.

「 All is in his hand. 」

.

乞 ウ モ リ

──── Fin.

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