乞ウモリ (ページ44)

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beg.43 / 目を瞑って－J ページ44

「どうして、かな。
ソノ子が…、そんなこと…」

「何を恨んでんのか分かんない。
……アイツなのにね、ルール破ったの」

何かしらの定めがあるとき、

それを守らない奴が居て

そいつに歯向かうとき

“ルールを破ったのはそっちだ”

と、自分が責められないよう守るため

一番に口をついて出る。

人間の特徴でもある。

俺にも人間味があるんだ、と

こういう時だけ、深くそう感じる。

哀しい、なんて

自嘲する。

自嘲なんて、し慣れたけれど。

「…っでも、ソノ子も、自分の時間が無くなったから…嫌になったんじゃないかな…？」

「……嫌に？」

「っうん、時間が欲しくなって、とか─────」

「なにそれ」

子供っぽい、なんて

思わなかった。

「アイツだよ？許可出したの」

反射的に、

ただ、反抗した。

「ルール外になる、って
俺はちゃんと断りを入れたんだよ。

でもアイツは、なんの断りも無かった。
ただ単に、ルールを破ったんだよっ」

そこでやっと、

目の前の、戸惑いしか映さない瞳に気付いて

昔アイツに言われた、
『カッとなって反抗するの止めなよ』
なんていう言葉を思い出した。

「……ごめん、ちょっとカッとなった」

「あ…、ううん、俺も言い方悪かったし…」

アイツのせいで運命が狂ったのに

こんな時に出てくるのが

アイツの言葉だなんて。

また、自嘲が溢れてくる。

「でも…やっぱり、嵐としてやってくには
ソノ子に壊されちゃ困るし…
みんなにも、バレちゃうかもだし…

俺も協力するからさ…？
現実見て、和解しなきゃ…、ね？」

そんな相葉くんが眩しすぎて

何も言えず

無言で、微笑みを浮かべて頷くと

彼は、ホッとしたような様子だった。

そんな甘くないよ、なんて言えなかった。

騙せるなら現実なんて必要ないよ、なんて

言えなかった。