beg.34 / 絡む糸 −N ページ35
「ごめん、遅くなった」
インターホンの音がして、玄関を開けると
そこには、息を切らした相葉くんが
肩を上下させて立っていた。
「いいよ、俺らも今帰ってきたから」
「外だったの？」
「うん、たまたま潤くんと会って…」
「あ、そうだ…松潤の様子見ていい？」
「え？あぁ…うん」
食い気味に聞かれて俺が頷くと、
おじゃまします、と言って
焦るようにリビングへ入っていった。
玄関の鍵を閉めて、彼の後を慌てて追うと
ソファに座って俯く、
潤くんの表情を伺うように
彼の手に自分の手を重ねて、覗き込んでいた。
すると潤くんは、
張っていた糸が切れたように
ポロポロと涙を流し始めた。
そんな潤くんを見て、
苦しそうな表情をした相葉くんは
ぎゅ、と彼を抱き締めた。
「……？」
入ってくるな、とは違う。
でも、
入ってこないよね？と
暗黙の了解がある。
そんな感じだ。
心配したんだろうな、とは思った。
でも俺、
潤くんに何か悲しいことがあった、なんて
一言も言ってない。
────────…どうして分かってるの？
「ニノ」
「あ、はい…？」
「ごめん…松潤、連れて帰ってもいいかな」
「え？」
「俺ん家に居させるから」
「や、ちょっとまって…、まだ話してないよ」
「え？…外に居た松潤を変に思って連れて来たんじゃないの？」
「何言ってんの？」
相葉くんが予想してたことと外れたようで、
難しい顔をして俺を見た。
本当は潤くんに許可を得なきゃいけないんだろうけど
見せるなと言われたところで、相葉くんに黙ってるわけにはいかない。
こんなの、ひとりで隠してろなんて
俺には無理だ。
「……相葉くん、これ見て」
「…？レントゲン？」
「それ、潤くんのなの」
不思議そうな顔をしてレントゲンを見ていた相葉くんは
目線を真ん中にやった瞬間
目を見開いて固まった。
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年3月26日 2時
