乞ウモリ (ページ25)

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beg.24 / 赤は漆黒に染める－A ページ25

誰かが操ってるのかと思うくらい

物事は、都合良く起こる。

人間のことを知り尽くした人が
どこかで操ってるんじゃないか？

いつだって、

忘れた頃にまた、戒めのように起こるのだから。

「松潤と相葉くん2人着替えだって～」

スタッフからの伝言を翔ちゃんが伝えてくれて
松潤と、別室まで出向く。

あれから、2週間が経っていた。

何事も無かった。

深夜に彼と出会うことも無かった。

…深夜に出歩かないようにしただけだけど。

ストーカーみたいなメッセージだって
届いてないみたいだし

彼の体がフラつくことも無かった。

だから、少し気まずい雰囲気も

やっと無くなってきた頃だった。

「なんか薄着じゃない？これ」

「ふは、ほんとだね、相葉くんのだけ( 笑 )」

秋に差し掛かった今の時期にしては、
少し薄い服だなぁと思ってそう言うと

それは俺の服だけのようで、

既に着替え始めて上半身裸だった松潤が
俺の服を見ながら笑ってた。

「なんで俺だけ！」なんて言うと
「まぁいいじゃん( 笑 )」と笑って返す松潤。

松潤のはどんなのかなぁと思い彼の方に視線を移すと

チラリと視界に映った、彼の左手首。

「……っ、おいっ！」

頭を整理するより先に、反射的に体が動いた。

驚くとか、そんなの後だった。

自分の視界に入った彼の左手首の

少し赤みのある、三本の線。

未だ濃ゆく、皮膚の上を覆っていた。

「なんだよこれ…っ！」

彼の左手首を掴み

彼の目の前に差し出す。

徐々に驚きが湧いてきて

目の前の切り傷にしか目がいかず、

すぐそこにあるはずの、彼の表情が分からない。

怖くて、見たくない。

恐る恐る、チラリと彼の表情に目をやると

綺麗な黒だった瞳が

漆黒の闇のように染まり

恐怖と哀しみが

ユラユラと、渦巻いていた。