二十九話 ページ33
その日の夜、私は夜に出発した。
電車に長い間揺られながら着いた先は田舎町。
猫の姿で草むらに入り、山に入る。
立ち入り禁止と書かれた植物が絡みついている網掛けゲートを潜り抜けた。
その先にある小さな小さな社に足を踏み入れた。
『にゃっ』
小さく鳴くと社の中から黒い猫のような生き物が顔を覗かせた。
「あら、おかえり」
『ただいま』
その顔を覗かせた猫のような生き物は猫又である、私の母だ。
顔をお互いすり合わせ、再開の挨拶。
「どう？お父さんに連れられた外の世界は」
『怖いのある。けど、仲間がいる。楽しい』
「そう」
母は嬉しそうにたくさんの尻尾を踊らせる。
母は私がSAOの生存者だってしてる。
私の父はSAOの研究者の一人だから。
『あのね、恋人出来たの』
「あら」
出久のことを話せば楽しそうに嬉しそうに、私の話を頷きながら聞いてくれる。
母は社の主だからここから離れられない。
だから、たまに会いに来る。
今夜は寝ずに朝まで語り続けた。
木が生い茂ったこの場所は朝日が良く見える山の頂上。
いつの間にか眠っていた瞼が朝日によって開かれる。
「おはよ」
『おはよ』
顔や体を舐め回し、毛繕い。
『お父さん。自慢の仕事を知って欲しかったと思う』
あの日初めて外の世界に連れ出されて、色々教えてくれて。
父の仕事も聞かせてくれて。
そこで初めてVRMMOというものを知って、外の世界じゃないもう一つの世界の景色を見せたかったんじゃないかなって。
『でも、思いのよらない自体起こって。悔しかったと思う』
茅場晶彦による、ゲームであってゲームじゃない世界に作り替えられていたことに気づかなかった自分自身が悔しかったんじゃないかな。
「そうね。でも、悔しいばかりじゃないと思うわ？」
私をそっと抱きしめながら言う母の顔は悲しいような、寂しい顔をしていた。
「貴方と一緒に居れた時間があの人にとって、一番の思い出だと思うの」
母は登りきった太陽を眺めながらそう呟いた。
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朱里(プロフ) - まほちんさん» き、気づかなかった……全部直します！ありがとうございます！ (2018年3月28日 18時) (
レス) id: 5e4d9538d4 (このIDを非表示/違反報告)
まほちん - 雄英高校が、ほとんど英雄高校になってます、、、！ (2018年3月23日 23時) (レス) id: 05f0b2f9d9 (このIDを非表示/違反報告)
朱里(プロフ) - 名無し42823号さん» お、お恥ずかしい笑笑ありがとうございます！ (2017年12月3日 17時) (レス) id: 5e4d9538d4 (このIDを非表示/違反報告)
名無し42823号(プロフ) - 18話のクラインがクラウンになってますよ！お話面白いです！ (2017年12月2日 12時) (レス) id: 2281aa880b (このIDを非表示/違反報告)
朱里(プロフ) - よぼよぼ婆ちゃんさん» ご丁寧にありがとうございます！画像、貼り付けてみます！ (2017年10月19日 7時) (レス) id: 5e4d9538d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱里 | 作成日時：2017年9月17日 19時
