家に帰ろうと思ったら拉致されました 続【オリジナル】

83話 ページ43

ロンガ視点

ﾊﾟﾀﾘ


外に出てきた


ウルフはずっと黙ったままだ

( 貴『…一人にしてくれませんか』)


彼女はとても悲しそうに


だけど


俺には確信があった


正しくは”俺たち”なのだが


次郎「…本当に主でなければならなかったのだろうか」


ウルフがつぶやく


ロンガ「…さあな」


彼女はもう”知っている”


ここがどこなのか


自分が”何者なのか”を


ロンガ「…お前は彼女がどこから来たのか知っているのか」


ウルフは首を横に振る


次郎「…主は自分のことは話したがらない


だが、わしは契約のおかげで何となく主をしっているだけだ」


悲しそうに下に俯く


次郎「……」


ロンガ「…どうしてお前は彼女と一緒にいるんだ」


興味はあったと言えばあった


こんな世界のただの狼


…こいつの場合少し格が違うが


一匹狼という言葉があるように狼は基本1匹で行動するのが基本だったはずだ


それなのに何故


特別なやつではあるがただの少女にそんな狼族のこいつが彼女のそばに居るのか


次郎「…一緒に行こうと言われたのだ」


ロンガ「…一緒に？」


次郎「あぁ、俺はずっとあの場所にいた


……訓練用にな


けど、外からいたやつにお前のようなやつのこと


…世界のことを教えてもらった


彼女が現れた時最初は殺すつもりじゃった


…まぁ、そういう風に育てられたんじゃからな


恨んでいた、この世界を


わしが見れないこの世界を


誰も仲間は来てくれない


何もかもがちっぽけで もう諦めていた


けど


彼女は違った」


ポツポツと懐かしそうに


笑顔でそれはもう嬉しそうに


ロンガ「…」


次郎「彼女はわしを誘ってくれた


敵であるわしをじゃぞ？


最初嘘だと思ったし


何言っているんじゃとおもったわい


けどな、主の目が言ったんじゃ


【来ないの？】とな」


ロンガ「…」


そんな経験は俺にもあった


あの日


俺が彼女を問い詰めたあの日


その物腰柔らかな雰囲気で彼女は俺を取り込んだ


目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ


彼女の瞳には人を動かす力がある


どんな種族であったとしても きっと



ロンガ「…これからどうする気なんだ」


次郎「……もっと強くならねばならん


彼女を守るために」


殺気立て目を光らせる


ロンガ「…」


俺は…





『…ｸﾞｽｯ


……けて』


次郎「ﾋﾟｸｯ 主？」


ﾎﾞﾌﾝｯ


ｶﾞﾗｯｯｯ

ロンガ「…！待て！！」

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