家に帰ろうと思ったら拉致されました 続【オリジナル】

66話 ページ24

ﾓｸﾞﾓｸﾞ


私たちは無言でご飯を口に運ぶ


カチャカチャと食器がぶつかり合う音を立てながら


その沈黙をやぶるようにリセトさんが話し出す


リセト「…最近どう？


頑張ってるのはミア様から時々聞くけど

Aちゃんは頑張りすぎちゃう所があるからさ」


心配 ﾆｺ といつもの笑顔を見せてくれる


…心配。されてたんだ


目をパチパチと開け閉めし


胸のあたりが温かくなるような感じがして


私は笑顔で答えた


『…大丈夫です！


皆さんいい人ばかりで毎日楽しいです！』


今はジロちゃんもいますから！


と隣にいるジロちゃんを撫でる


ジロちゃんは目を細めゴロゴロとないている


リセトさんも嬉しそうに笑った


リセト「…あ、そうだ。

ずっと聞こうと思ってたことがあるんだけど」


晩御飯を食べたあと


食器を返しに移動していると


リセトさんが唐突に話しかけてきた


リセト「…Aちゃんって兄弟とかいるの？」


…兄弟


私は一人思い浮かべた


今はもういないが


貴『…いました、が一番正しいと思います


生まれてまもなく亡くなってしまって』


暗い話になって申し訳ないなとも思いつつ


笑って答えた


…小さい頃すぎてもう顔も思い出せないが


リセト「…ごめん。嫌なこと思い出させちゃった」


シュンと頭を下げ弱々しく答えた


貴『…ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ(頭を振る)


その頃私は小さい時でしたし


あんまり覚えてないので全然大丈夫です！』


覚えてないのはほんとうだ


正直人に言われないと思い出せないぐらいだったし


貴『急にどうしたんですか？』


と素直に思ったことを口にする


リセト「あー…。その。僕、妹がいるから


Aちゃんはどうなのかなーと」


本当に何のこともなく疑問に思ってて聞いたんだ


悲しい顔


…一人っ子って言えばよかったかも


折角話題を振ってくれたのに


何だか申し訳なかった


貴『…どんな方なんですか？』


いたたまれなくなって私は質問してみた


すると、パッとリセトさんの表情が変わる


リセト「サラって言うんだけど、僕とは違って


武闘家で、強いんだけど、


お花が好きな可愛いやつなんだ！」


それでね…！


リセトさんは嬉々と話す


…本当に妹さんが好きなんだな







かれこれ20分くらいだろうか


リセトさんはずっと妹さんの話をしていた


話している時のリセトさんは


本当にうれしそうだった


貴『…会ってみたいです、いつか』



羨ましいと思った

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