第拾壱話 ページ16
飛んでいった得物はわたしがいつも使っている
しばらく投げた方向…南南西の草陰を観察する。
反応がない。
……暇だな、こっちから行くか。
もう一本あった右に死者の得物を持ち左に自分の得物を手で覆い被すように持つ。
わざと音を出して近寄る。
草陰に足を踏み入れる。
何も無い。木に刺さった筈だがそれすらない。
なにかが近付く。振り向きざまに右手にもったそれで弾き飛ばす。
飛んできた刀は私に刺さる寸前で弾き飛ばされ無惨にも二つに折れる。
目が合う。白濁色の瞳に紫がかった髪を持つ
私は柔らかく口角を上げて右手をそれの首筋に優しく刺し込む。
それは口を何か言いたげにパクパクと動かし、生命活動を終わらせる。
塵芥となった少女のもとを去り安地を探す。
しばらく歩くと視界が良い窪地に出た。
ここなら大丈夫そうだ。
ふと竈門炭治郎に渡された細長いなにかを思い出す。
開けてみると小さい鞘…それと鈴、紐が入っている。何に使えば良いのだろうか。
とりあえず刀をはめてみる。うん、ピッタリだ。
鈴と紐は何に使うかわからなかった為、等間隔に鈴を括り付けたその場しのぎの罠として使わせてもらおう。
紐をよく蔭っている木と木の間に括る。
窪地の真ん中に座り体力の温存に使う。
過去の記憶が頭をよぎる
――――――――――――――――――――――――
少女は手や足、首に至るまで鉄製の鎖によって繋がれている。
雁字搦めな訳ではなく半径数メートルならば自由に動けるようになっている。
カタンと音がし、食事が置かれる。
鳴呼、もう夕餉の時間か。
パチッと音がし、電球が消える。
読んでいた本を床に置き、取りに行く。
暗い牢からはよく見えないが人の気配はまだ消えていない。私は
「もし、」
それは怯えた様に答える。
「なんでしょうか…お嬢様…」
「替えの電球を後で持ってきては下さらぬか?」
「り…了解致しました。」
そういいそれは奥へと消える。
食事へと目を移す。
箸を使い口へ運ぶ。冷めている。
残ったそれ等を牢の柵の合間から外に出す。
ギャァァァァァァ
耳をつんざくような悲鳴が聞こえる。
私はとある青年の刀を手に取りよろつきながら鎖の根元へと向かう。
チリンチリン…鈴の音…?
――――――――――――――――――――――――
私は正気に戻り得物を手にし、構える
1人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とある堕天使(プロフ) - 花猫さん» さんくす (2020年8月18日 2時) (レス) id: a3cbec4d52 (このIDを非表示/違反報告)
花猫(プロフ) - いいね! (2020年8月17日 22時) (レス) id: cf66358d19 (このIDを非表示/違反報告)
とある堕天使(プロフ) - ほねさん» さんくす (2020年8月17日 20時) (レス) id: a3cbec4d52 (このIDを非表示/違反報告)
ほね - すげぃです (2020年8月17日 19時) (レス) id: 0dbf8d94d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とある堕天使 | 作成日時:2020年8月17日 18時