36.『Nem’oubliez pas』 ドラコside ページ36
翌日 ダイアゴン横丁にて
クロウからｰ2時間だけ貴方の時間をちょうだいｰと言われ
僕は母上に事情を話して監視なしで外出していた―
『ドラコ』
お待たせ、と
フードを深く被る僕の背後から声がする
彼女の声だ
ﾎﾟﾝｯ
その後、すぐにクロウが姿くらましをして
着いたのは彼女の家の庭園だった―
「いつの間に試験を？」
昨日誕生日を迎えたばかりのはず、と疑問を抱く僕
『昨日よ』
今日使いたかったから、とクロウはﾌﾌｯと笑みを溢し
ほら見て、と目の前の大きな木を見上げる様に催促する
ｻｧｧ
「わぁ…」
視界いっぱいに広がる淡いピンク色の花を見て
僕は思わず息を呑む
『薔薇も素敵だけれど、この花も素敵でしょう？
桜っていう日本の花なの』
私のご先祖様が日本の魔法使いから貰ったものなのよ、と
説明するクロウ
『花言葉も素敵でね、純潔、精神美、あと…』
「あと？」
楽しそうに話す彼女の声色が
一瞬、暗くなったのに気付く
『ううん、確かこの２つだけだったわ』
うっかり、と振り向き微笑むクロウ
その表情を見て僕は、彼女を背後から抱き締める
ｷﾞｭｯ
『ドラコ…？』
春風に舞う花びらに包まれて微笑む彼女が
とても綺麗で儚くて、そのまま消えてしまいそうだった
「僕を、置いていかないでくれ…」
クロウ、どうして君の目元が少し赤いんだ
…僕をひとりにしないでくれ
ｻﾗｯ
『愛してるわ、ドラコ』
僕の頭を優しく撫でる君
愛してる？、とは聞いてくれないんだな…
「なぁクロウ」
『なぁに？』
「このまま、何処か遠くへ行かないか」
『遠く？』
「あぁ、どこでも良いんだ
君の好きな動物が沢山いる自然豊かな所とか」
彼女の肩に顎を置いて、桜を眺めながら話を振る
『ふふっそれは素敵ね』
楽しそうに笑ってじゃあ、と彼女が指し示したのは
彼女の家に来るといつもお茶をするティールームだった
「え…？」
『ティータイムにしましょ、ドラコ』
「クロウ『大丈夫』
僕が困惑しつつ言葉を口にしようとすると
彼女は人差し指を僕の唇に当てて僕の好きな笑顔を向けた
『私、強いし賢いから大丈夫
“ドラコが私を愛してくれていた”
それだけで充分だわ。ありがとう、ドラコ』
僕の腕からするりと抜け出して
スカートをひらめかすクロウ
ﾀｯ
「クロウｯ‼︎」
手作りのお菓子もあるのよ、と
小走りで走って行く彼女に向かって僕は後悔した
君が逃げようとしない事くらい最初から分かってた筈なのに
僕の願望を押しつけてしまった、と―
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ひみつ - この作品ずっと大好きで何周もしてます！更新ずっと待ちます (2月6日 0時) (
レス) @page41 id: b76ada1bfd (このIDを非表示/違反報告)
Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (2023年4月13日 13時) (レス) @page41 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
macaron - いつ見ても面白いです！！！更新は遅くてもいいので頑張ってください (2023年3月11日 0時) (レス) @page41 id: bd43d76e72 (このIDを非表示/違反報告)
かとうのすけ。(プロフ) - めっちゃこの作品📕大好きです♥️✨これからも応援します✴✋️ (2023年1月21日 22時) (レス) @page41 id: b6fe45c711 (このIDを非表示/違反報告)
ひなんぐ(プロフ) - このシリーズ大好きです！応援しています🥰 (2022年11月11日 10時) (レス) id: 992b5ebd96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：戯言。 | 作成日時：2022年2月8日 13時
