32.背中にある翼 アミーside ページ32
2月末の休日 図書室―
ｽﾗｽﾗ
「(どうやったら３つも同時に出来るんだろう…)」
私は思わず、隣で魔法生物飼育学の課題を
黙々とやっているクロウを見つめてしまう
彼女の頭上には
自ら意志を持っているかの様に動く羽根ペンによって
マグル学と呪文学のレポートが別々で進められているから
ｼｭﾙｯ
『…そんなに見つめてたら穴が開いちゃうわ』
頭上に浮いていた羊皮紙や羽根ペンが綺麗に纏まり
凝視していた私へ困った様に笑い掛けるクロウの手に収まる
「あっ…ごめんね」
私がそう言い、笑い返すとクロウは優しく微笑んでくれる
元々マグルだった私には魔法界自体が非現実的だったけど
それも今は慣れて、日常になりつつある
でも、そんな日常の中で
時々クロウだけが非日常に感じてしまう
『どうしたの？』
顔に出てしまっていたのかな…
私の下がった眉を指で優しく撫でてくれるクロウ
話す言葉、声、表情、仕草…何を取っても
完璧だ、と断言できる程に彼女はとても綺麗な人だ
「…」
最近、何かを悟る様に私達との時間を
大切そうにする彼女に大丈夫？、なんて聞けない
だって、クロウは誤魔化すのが上手だから
ﾎﾟﾝｯ
『ねぇ、アミー
もし、大切な人達が幸せになる代わりに
自分のことを忘れちゃう魔法があったら…どうする？』
「え？」
俯いていた私の頭を撫でるその手はとても心地良くて
私にはその質問の意味が深く理解出来なかった
ｸｽｯ
『今のは忘れていいわ』
私が思わずクロウを見上げると
あまりに間抜けな顔をしてたのか
彼女は何処か安心した様に眉を下げて笑みを零した
「…クロウｯ」
その触れたら壊れてしまいそうなほど綺麗な笑顔に私は思わず口を滑らしてしまいそうになって
それを遮るかの様にクロウは参考書を持って立ち上がる
ｽｯ
『アミー、今日はここまでにしましょう
詰め過ぎは身体に良く無いわ』
お茶にしましょう、といつもの笑顔を浮かべたクロウを見て
私は何も聞けなくなってしまった
『アイシングの練習、いつにする？』
「今度の休日とかどうかな？」
寮へと戻りながらそんな会話をするクロウ
瞳に海を持っているかの様な彼女は女神様みたいで
私たちは彼女の側にいると
その大きな翼の下で守られている様な、そんな感覚になる
『調理場を貸してもらえるか聞いておくわね』
「うん！楽しみ！」
でも、私クロウが心配だよ
手脚に枷を付けて、私たちを守るその翼は傷だらけで
貴女はいつか、自分を殺してしまいそうだから
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 542人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひみつ - この作品ずっと大好きで何周もしてます！更新ずっと待ちます (2月6日 0時) (
レス) @page41 id: b76ada1bfd (このIDを非表示/違反報告)
Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️とても、続きが気になるのでよろしくお願いします。m(_ _)m (2023年4月13日 13時) (レス) @page41 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
macaron - いつ見ても面白いです！！！更新は遅くてもいいので頑張ってください (2023年3月11日 0時) (レス) @page41 id: bd43d76e72 (このIDを非表示/違反報告)
かとうのすけ。(プロフ) - めっちゃこの作品📕大好きです♥️✨これからも応援します✴✋️ (2023年1月21日 22時) (レス) @page41 id: b6fe45c711 (このIDを非表示/違反報告)
ひなんぐ(プロフ) - このシリーズ大好きです！応援しています🥰 (2022年11月11日 10時) (レス) id: 992b5ebd96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：戯言。 | 作成日時：2022年2月8日 13時
