39 モブと温もりとふわふわ ページ8
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明晰夢──睡眠中に見る夢のうち、自分で夢であると自覚しながら見ている夢のことである──
って聞いた事はあるけど見たことは多分無かったと思う。ただ、今その明晰夢を見ているかもしれない。
あたたかくて、ふわふわした空間にフヨフヨと浮かんでいる。何もしていないのに不思議と心地がいいから、天国もこんな場所だといいなぁなんて思う。
夢を見ているってことは私は寝ているってことだ。
寝る前私は何をしていたっけ。……ああそうだ、四年生となんちゃらマラソン大会のコースの下見で山ん中に行ってたんだっけ。それから……どうしたんだっけ。……起きれば思い出せるかな。
『…………』
目を開けて最初に見えたのは天井。忍術学園の建物は全て同じような作りなのでこの情報だけでは何処なのか検討すらつかない。ただ何度も見た自室の天井の板と木目が違うのは確かだ。
次に触覚、私は布団の中にいた。夢の中であたたかかったのはこのせいだろう。
次に鼻でとらえたのはよく嗅ぐ独特のかおり。これはよく伊作が調合してる薬の匂い……ということはここは保健室だ。何故保健室で横になっているんだろう。
最後に、耳でとらえたのは雨の音。帰ってきてからどれくらい経ったんだろう、まだ雨は止まないらしい。そして紙の音。恐らく本か何かのページをめくる音だ。誰かいるらしい。
横になったままでは得られる情報はこれくらいしかない。更なる情報を得るために起き上がらねば、と試みたが何やら体が重い。代わりに視線を少し動かすと視界に飛び込んできたのは……
『……ふわふわ、』
ふわふわ。さっき夢で見たような、けれど違うふわふわ。そのふわふわは私の声に反応して動いた。
？｢あ、起きた？｣
──ゴッ
今の音は私が飛び起きて後退り、思いっきり壁に頭をぶつけた音だ。めちゃくちゃ痛いからたんこぶ出来たかもしれない。
『〜ッ……』
？｢大丈夫……？｣
当たり前だけど、ふわふわにはちゃんと顔があった。
その顔は四年生になってからよく見る顔。しかし喋り方と声が違う。……彼は変装"してる方"じゃなくて変装"されてる方"だ。
｢あっ、そういえば初対面だったよね。僕は五年ろ組、不破雷蔵だよ｣
『……存じてます。初めまして、私はくの一教室四年の──』
雷蔵｢AAちゃん、だよね。僕も君のこと知ってるよ｣
『……』
にこ、と笑う彼の笑顔は雨雲さえ吹き飛ばしてしまいそうだった。
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蒼葉碧(プロフ) - みむまむにさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます〜！ヽ(^0^)ノ (2020年9月23日 8時) (
レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
みむまむに(プロフ) - すごく好きです！前作から引き続きずっと楽しいです！神作をありがとうございます！！ (2020年9月22日 21時) (レス) id: c45f50d5a3 (このIDを非表示/違反報告)
桜舞姫・蝶月姫(プロフ) - そっかぁ、簪の意味分からないかぁ、、、嫌われている所か....ねっ？ (2020年5月22日 20時) (レス) id: fcb098628f (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - nasiremonさん» ありがとうございます〜！´`* (2020年5月15日 23時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon - すごく面白いです！！ 伊作先輩と鉢屋がかっこいい！ (2020年5月15日 0時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼葉碧 | 作成日時：2020年3月5日 15時
