48.欲 ページ3
夜8時。
Aからの連絡はあったが流石に心配になって、ランニングコース辺りで探しに来たわけだが。
まさか、こんなことになっていたとはな。
俺の腕の中で眠るAを優しく撫でてから、抱き上げる。
「教えてくれて、助かった。爆豪」
「……は、テメェの為じゃねぇよ」
「そうか」
地面で伸びている男三人をどうするか迷ったが、警察に連絡だけして放置しておくことにした。
本当はもっと痛めつけてもバチは当たらないだろうが、今はAを連れて帰る方が先だ。
そう考えて、帰ろうと歩き出した時、肩を掴まれて振り返る。
「なんだ?」
爆豪は何か言いたそうに口を開いて…閉じる。
でも、覚悟を決めたのか俺の目を見てもう一度、口を開いた。
「お前ら、本当に兄弟なんか?」
その言葉の意味はよく分からなくて首をかしげる。
今まで、双子として兄弟としてずっと一緒にいたのだ。兄弟に決まっているだろう。
「…分かってねぇのか。ならもう一つ。お前はAの事が好きなんだろ」
Aと妹の名前を呼ぶ爆豪に少しだけ胸が締め付けられた感覚がして、顔を歪める。
「…あぁ。だから、誰にも渡さねぇ」
「そーかよ。なら、大事にしまっとくんだな」
「まさか、お前もか?」
「さぁ、な?それと、普段はAなんて呼んでねぇから安心しろ」
そう言って、去っていく爆豪。
その背中を数秒見つめて、俺も家に向かって歩き始めた。
まだ、Aは眠ったまま。
◇◆
Aを連れて帰って、布団の上に寝かせる。
そういえば、頰を舐められていたなと思い出し、ギュッと拳をつくった。
守ると言ったのに俺はまた守れなかった。
そう思うと情けなくて怒りが俺を襲う。
「…悪い。悪かった」
Aに届くことはない謝罪を呟いてから、そっと頭を撫でる。
濡らしたタオルで舐められていた頰を拭いて、キスを落とした。
『ん……ぁ、焦凍?』
そんな時、Aが目を覚ます。
タイミングぅ、と心の中で叫びながらもバッと顔を遠ざけた。
『今、何してた…?』
「なにも」
『うそだ。ねぇ、焦凍』
「……頰にキスしただけだ」
正直に言ったぞ、俺は。
Aの顔を見ると、真っ赤で茹でタコみたいになっていて可愛いなと顔が綻ぶ。
「キスしてぇ…あ」
『は、は?な、なにいって』
これは誤魔化せそうにないかもしれない。
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おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます!!そう言ってもらえるととても嬉しいです!!これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おつきみ | 作成日時:2018年3月26日 1時