６５.矛盾 ページ20
「A、来なさい」
その日の夜。
私の部屋に訪れたのは父で、言われるがままに着いて行き、父の部屋の中へと通される。
部屋の中に寂しくも置いてある座布団の上へと座り、父と向き合った。
何度も訪れて来たのに、この部屋の雰囲気はやはり慣れない。
「…海に行ったそうじゃないか」
『はい』
「なにをした？」
『砂浜ダッシュや水操の練習です』
「フン、まぁ、そんなもんだろう。焦凍はどうだ？」
『焦凍は……ランニングをしてるところは見ましたが』
結局、何が言いたいんだ？
父のことだ、鍛錬のことを聞きたいわけではないだろう。
『父さん、そんな事を聞くために連れて来たわけではないでしょう』
「………。焦凍に関わるな」
長い沈黙から出て来た言葉はいつもの言葉で何も思うことはない。
「焦凍はNo. 1ヒーローになる存在だ。海に行っている暇などない」
『…ごめんなさい』
「はぁ…でも、まぁ今回は鍛錬をしていたからな許そう」
『…そう、ですか』
私と焦凍が付き合ってる。
なんて、そんな事実がバレてしまったらこの人はどんな反応を見せるのだろうか。
きっと、私なんて殺されるかもな……
そんなことを考えた。
父は焦凍のことが大事で、愛情だってあるんだと思う。だから、私なんか、すぐに捨てられてもおかしくない。
『お父さん、一つ、いいですか？』
「なんだ」
『私は……』
必要とされていますか？
そんな言葉を呑み込んで、首を振った。
『やっぱりなんでもないです。…焦凍のことは、分かってますので、心配しないでください』
口早にそう言って、父の部屋から逃げるようにして出る。
あの部屋に、いたら泣いてしまいそうだったから。
父が憎い。
こんなにも憎いのに。
私は、父からの愛が欲しい。
どうして、こうなってしまったのだろうか。
もう、感情がごちゃまぜでよく分からないけど。
ただ、ただ私は。
誰かに必要とされたいだけなのだ、きっと。
そのために私を見てくれない父を憎み。
私を見てくれた焦凍や母を傷つけた父を憎み。
弱い私を憎んだ。
そうすることで、必要とされていないという事実から逃げたかったのかもしれない。
『どうして？……心が、痛い』
溢れ出る涙は、素直に私の心を表していて。
否定したくなった。
だって、私は。
焦凍のためにも父を憎まなければならないから。
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おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえるととても嬉しいです！！これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2018年3月26日 1時
