57.賭けの内容 ページ12
「楽しかったねー」
何ていうコウに『そうだね』と返す。
ダブルデートも案外悪くないかもしれないと思った。
「じゃあ、ここで解散にしよっか」
最初の集合場所近く、コウの言葉で解散となり二人一組に分かれた。
もう、日は傾いて周りは会社から帰る人や私たちのように遊びから帰る人が多い。
そんな中、私と焦凍は帰路につく。
『で、結局…賭けの内容は何?』
「…軽い願いだから安心しろ」
『それなら、いいけど……』
なんとなく、だけど嫌な予感しかしない。
「Aからのキスが欲しい」
『分か……ん?いやいやいや、』
落ち着け。うん、落ち着こう。
当の本人は私の反応を見て楽しんでいるのか少しだけ笑っている。
そんな彼から離れるように後退るが、腕を掴まれて引き寄せられた。
近くなった距離に心臓が速く波打つ。
「ダメ…か?」
首を傾げる焦凍。
本当にズルいと思う。
いつの間にこんなにズル賢くなったのだろうか。
『ダ…メ、だよ』
「何でだ?」
何とか言い訳を。
『ここ、外だから。見られるよ』
回らない頭で言ってしまった言葉。
ニヤリと笑う焦凍に、事の重大さに気づいて、慌てて焦凍から逃げようと腕に力を込めた。
「外じゃなかったら良いんだな?」
そういうつもりじゃなかった。
でも、私が言ってしまった言葉は取り消されることなんてないのだろう。
家へと急ぐ焦凍に引きづられながらも、打開策を考えた。
もうすぐ、家に着いてしまう。
頭をフル回転させて考えていると、そういえば唇にキスをしろというものじゃなかったことに気がついた。
「…着いたな」
すぐに家に着いて、玄関の扉を閉めた焦凍は私に向き直って腕を離した。
すぐに「お帰り」と出迎えてくれる冬美姉さんが来ないので、買い物か何処かに行っているのだろう。
『…少し屈んでよ』
玄関だから…もし扉を開けられたらどうしよう?とかそんな心配の中で、焦凍の頰にキスを落とした。
恥ずかしさからか顔が赤くなっていくのを感じる。
「ぉ」
『…これでいいでしょ?その……今はこれで、許して…欲しい』
今の私ではこれが限界なんだ。
そう言って、焦凍を見ると、予想外だったのか驚いた様子で心なしか顔も赤い気がした。
「はぁ……、い…ぎ、か」
『?どうしたの?』
焦凍がなにかを呟いたかと思えば、顔がドアップで映って、ちゅっとリップ音が響いた。
キス…されてしまった。
そう分かると、また顔が赤くなった。
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おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます!!そう言ってもらえるととても嬉しいです!!これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おつきみ | 作成日時:2018年3月26日 1時