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episode39 ページ41





「そう云えば私もあの日、記念に中也の車に爆弾を仕掛けたなぁ」

「あれ手前かっ!」

さらりと何とでもない風に中原の怒りを買いに行く太宰。そして、それをみてAも口を開く。

『…そう云えばあの日、私大量の包帯といくつかの鞄を燃やしました」

「私の荷物全部灰になってたのは全部君のせいだったの!?おかげで苦労したんだけど!」

今度は太宰が驚きと少しの怒りをAに向ける番だった。それに対し、Aは得意げな顔をする。
その顔には、“全てが貴方の思い通りになるとは限らないんですよ”と書いてあるようで太宰は一際大きくため息を吐いた。


「君のそういう所、ほんと嫌い」

『ありがとうございます』

「だから褒めてないんだってば…」

もうやだこの二人、とぼやく太宰に中原が「俺だって手前の顔も態度も服も、全部気に食わねぇよ」と横槍を入れる。


「私も中也の全部が嫌いだね。好きなのは中也の靴選びの感性くらいだ」

その言葉に少し嬉しそうに自身の靴を見遣る中原に、太宰は「勿論嘘、靴も最低だよ」と真顔で告げる。

直後に飛んでくる鋭い蹴りを避けながら、太宰は無駄だよ、と笑う。


…ほんとにやり取りが保育園児並だな、と一連を見ていたAは思う。勿論自分の事は棚に上げて。


ようやく三人は部屋の奥、大木に括り付けられ気を失っているQを発見する。


「木の根を切り落とさないと。中也、短刀貸して」

「あ?あぁ…、ん?確か此処に…」

「あ、さっき念の為取っておいたんだった」

「手前…」

お約束のやりとりをする上司と元上司を横目にAはそっと大木に手を添える。
大木は徐々にそのエネルギーを吸われ、最後には跡形もなく消え去った。支えられるものがなくなったQの身体が、どさりとAに倒れ込む。


『……帰りましょう。太宰さんがその短刀でQを殺るつもりなら話は別ですが』

「殺さないよ。Qが生きてマフィアに居る限り万一の安全装置である私の異能も必要だろ?マフィアは私を殺せなくなる」

『…相変わらず偽善臭いことで』


太宰に皮肉を浴びせてAがQを背負おうとした所で、横から腕が伸びてきてその小さな身体を引き取っていく。

「流石に女に荷物は持たせらんねぇだろ」

何とでもない風にそう云って軽々とQを背負い、じゃあ行くか、と出口へ向かっていく中原。



『ぐっ…』

その直後に胸に手を当て呻き声を上げて蹲るAを見た太宰は、なんとも言えない顔をしていた。

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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時

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