第28話─兄として─ ページ29
太宰_side
私と同じように蓬髪で、ショートででも、何処か私とは少し違くて、優しい髪だ。
横顔も、私そっくり。親みたいな言い方だが、私はAの兄で、時に父親として、上司として接してきた。マフィアの頃も、Aだけ挫けずに私の教育方針に着いてきた。さぞ痣も、傷も作った。だが、それでも兄として接してきた。
今でも、完全な兄妹として接しているが、何処か私に恐怖を抱えている。それが悲しくて、自業自得と考えている。
太宰「それは良くない、食べないと此の儘では倒れてしまうよ!」
「蟹缶と酒しか飲まない貴方に云われたくない」
太宰「はいはい、よしよし」
「五月蝿い!辞めろ!触るな!!」
私がAの髪をわしゃわしゃと撫でれば、抵抗はするものの、されるが儘って感じだ。この子は男と生きてるが、生物学的には女だ、だから男に勝てるはずがない。心配だ。
太宰「何かあったら私に頼るんだよ、じゃないと怒るからね?」
「ふん、絶対に頼らねェ!」
太宰「なんか、中也に似てきたね〜??やだよ?私、蛞蝓とそばに居るAなんて、」
「はぁ??いやいや、普通に誰だって口調が荒れたらこんな話し方になるでしょ!?」
太宰「ならないね、」
「中也さんと、話してた時は兄さんだってこんな感じだったのに!」
太宰「はて、そうだったっけ?」
「そうだよ!!」
私の前で感情豊かに喜怒哀楽を出すAが愛おしかった。顔をAの顔に近づける。
「な、なに、!?」
コツンと音がしそうな程の優しさでお互いの額をつけた。なんか、本当なら自分の彼女とかにするんだろうけど、私の一番大切な人は何時までもAだと心から誓う。
「A、」
「なんですか、」
目線と目線がぶつかってAの鳶色の目が私の目を優しく包むように見る。
太宰「矢張り君は女の子だね」
「五月蝿い、私は男だ、」
太宰「御免ね」
「何が?」
太宰「守ってあげられなかった」
其の儘Aの後頭部に手を置いて、自分の胸に押し付けた。優しい髪に自分の顔を埋めた。鼓動も、胸の苦しさも、全部が響くように頭に響いた。川の音も、うっとおしくて耳を塞ぎたかった。
途切れ途切れの会話にAは短く返すだけ、後悔しかなかった。もし過去に戻れるなら、私は今もAと幸せに暮らせていたのに。
74人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年8月14日 0時