第20話─眠る君─ ページ21
芥川_side
Aはもう眠たそうに目を開ける回数が小さくなってきた。
「もう寝ろ、貴様が寝るまで僕は此処に居てやる」
「うん、・・・・・・あり・・・がとう・・・ねぇ、手握っていい?」
「僕は男と繋ぐ趣味は持ち合わせておらぬ」
「おねっ・・・がぃ・・・」
ウトウトしながら上目遣いで云って来た。非常に弱った奴を見るのは僕も鬼ではない。仕方なく、羅生門で彼の手を握るが、引っ込められた。
「芥川君の手がいい、」
「なぜ僕がこんな事っ、!!」
「......」
無言のまま僕に手を差し出す。敵わぬ、何故此奴に僕が屈するのだ。
自分が自分を理解出来ぬ。
仕方なく、手を握った。すると、ふわりと微笑んで其の儘目を閉じた。規則正しい呼吸と共に、自然と寝息に変わっていった。
相当疲れていたのか、目の下に隈が出来ているのも見受けられる。Aの手はまるで氷のようだ。冷たい。自分の手も冷たいと思っていたが、ここまで冷たいと僕でさえ心配する域だ。
暫く此の儘で居ると、自分も段々眠くなってきた。Aの手も僕の体温が移ったように温かくなってきた。此の儘寝ては中原さんに怒られてしまう。
すると、ガチャっと執務室のドアが開いた音がして、そのまま自室の扉も開いた。振り向くと、そこには任務から帰ってきた中原さんの姿だった。
「中原さん御苦労様です」
「おう、悪かったな、急に此奴の事頼んじまって」
「いえいえ、中原さんの頼み事ならなんなりと」
「ありがとな、処で芥川、手前何でAの手繋いでるんだ」
僕を見ていた目線が其の儘自分の手に写った。あ、しまった。なんて心が云ってる。
「之は、彼が眠れぬと云うので、策を考えておりましたが、このような結果に」
「すまねぇな、此奴弱ると
そうなのか、流石傍に居た中原さん、彼の取り扱いも慣れてる。お手の物って、感じだ。
「じゃあ、俺報告書まとめなきゃならねぇから行くな、」
「はい、御苦労様です」
ひらりと左手を上げて去ってしまった。その後ろ姿に惚れ惚れする自分が居る。よし、と思って握っていた手を離れて、Aの手を布団の中に入れる。そして、僕は自分の執務に戻る。
なんか、自分の手が凄い名残惜しく感じるのは。はぁ。と短く息をして、咳き込んだ。
そして、其の儘絨毯の上を歩いて、廊下を歩く。
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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年8月14日 0時