第12話─怯える君─ ページ13
A_side
若干イライラしてた。中也にでも、彼奴らに対してでもなく、なんで此処まで私が兄の太宰治のことでブチ切れているのか。そんな自分に腹が立つ。
むしゃくしゃする。この気持ちが抑えきれない。
イライラしていた時に、目の前に黒い外套の黒と白の髪をした彼の姿だった。
だが、私の姿を見た瞬間、少し怯んで怯えていた。そうかそうだよね、そのせいで彼の影から出来る〖羅生門〗が此方に向けられていた。
「芥川くーん!!」
その声に、芥川龍之介の羅生門が消えた。その代わり、口元を手で押えてゴホゴホと咳をしていた。
芥川「何をしているんですか、Aさん」
「相変わらず冷たいね〜、今から執務室と云うか自室に戻ろうとしていたところ、」
芥川「では、なぜ
「うぅーん、居たから?」
芥川「理由になっておりませぬぞ」
「うぅーん、今の私は人恋しくてね、君が居たからつい、構いたくなってね、ごめんね、許してくれる?」
その事に芥川君は、また口元を押さえてゴホゴホと苦しそうに咳をした。私はそれを見ていて苦しくなるだけだった。こんな苦しそうな咳何時もしているのだから何か、治るような薬はないのだろうかと。
芥川「僕に拒否権などありません、なので、別に怒ってもいませんし、Aさんを、っ、ゴホゴホッ……」
「大丈夫・・・・・・?」
私が彼に慌てて寄り添い、背中に触れようとした途端、彼の羅生門に
「うっ!!・・・っ、あくっ..たっ、が、わぁっ、んぐっ・・・・!!」
背中の痛みと共に首に巻き付く羅生門を何度か解こうとしたが、無理で叶わなかった。私は、虚しさで涙が頬につーっと流れた。
「ごめっ、ん、ね、......私はっ、なに、もっ、わかって、なかっ、た、...ごめっんねっ、......あく、た、がわっ、」
ぽつりと彼の羅生門に涙が落ちた瞬間、するりと彼の黒い影が首から離れて私は息をする事が自由になった。
黒い外套が背中から離れて、近くにばさりと音を立てて落ち、自分は床に倒れた。咳き込んで、使えない躰を何とか起こして、彼を抱きしめた。
彼は躰を震わせた。
「ゴホッ、ゲホゲホッ!!、芥川君は、私が、兄にっ、見えたんだよねっ、だから、殴られるってっ、思ったんだよね......ごめんね、」
彼は確かに、恐怖に怯えてた___
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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年8月14日 0時