Episode49 【Yuta.K side】 ページ49
今日はメンバー全員でスタジオの会議室にこもり、打ち合わせ。
３時間ほどしたところで、ようやく話がまとまり解散となった。
次々とメンバーが出て行く中、チーフマネージャーに呼び止められしばらく話をした後、ようやく俺も会議室を出ようと出口に向かう。
その時、テーブルの上に配られた資料が置き去りにされていることに気づいた。
手に取ってみると、その他にもいくつか他の仕事のファイルがあり、それらから紫耀のものだと分かる。
「あいつ、本当せっかちだな」
苦笑いしながら手に取ると、ファイル同士が擦れあってすべり、資料が手から落ちて床に散らばる。
「あ〜しまった。やっちゃった」
１人つぶやいて資料を拾い集める。
１枚の資料を手に取った時、その下に落ちていたものを見て、俺は固まった。
それは、紫耀とAさんが写った写真だった。
恐らくプロが撮ったものと思われるその写真は２枚あり、１枚は２人が見つめ合っているもの、そしてもう１枚は笑い合っているものだった。
俺はしばらくの間、その写真から目が離せなくなった。
２人とも俺が見たことのない表情だ。
こんなに優しく笑う紫耀も、こんなに自然に微笑むAさんも、知らない。
写真の２人はまるで、愛し合う恋人同士のようだった。
「あれ？岸、どうした？」
会議室に戻ってきたチーフマネージャーが、俺を見て不思議そうに声をかける。
「あ、すいません。ちょっと資料、忘れちゃって。お疲れ様でした！」
俺は写真をファイルに荒く、なかば投げつけるように挟むと、チーフの横をすり抜けて会議室を出た。
廊下を歩きながらも、ずっと写真のことが頭から離れなかった。
その写真が挟まったファイルを持つ自分の右手は、まるで鉛を持っているかのようにずしんと重く感じられる。
その時、廊下の先で他のスタッフさんと話しているAさんの姿が見えた。
(そうだ。Aさんに渡しておけば、紫耀に返してくれるだろう)
そう考えた俺は、Aさんに声をかけた。
それをきっかけに、話していたスタッフさんが「じゃあ私はこれで･･･」とその場を後にした。
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さや(プロフ) - chihiropooh1123さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！ 頑張って続き書きます！！ (2018年6月11日 0時) (
レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
chihiropooh1123(プロフ) - 凄く楽しませて貰ってます。次回話楽しみにしてます。 (2018年6月10日 15時) (レス) id: 016550d6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SaYaKa | 作成日時：2018年6月2日 2時
