Episode36 ページ36
ふぅ･･･。
小さく息を吐く。
今日は昼間から何だか体が重く、調子が悪い。
「早く仕事片づけて帰んなきゃ」
１人呟いてパソコンを立ち上げる。
それから約３０分ほどパソコンに向かっていると、フロアに足音が響いた。
コンコン
ノックする音が聞こえて顔を上げる。
「岸くん！？」
「Aさん、お疲れ」
「どうしたの？」
「こんな遅くに仕事してるって聞いたからさ。差し入れ、買ってきた」
そう言うと彼は右手に提げていた袋を持ち上げてみせた。
「え？わざわざ？そんな…悪いよ」
「まぁ、差し入れは口実で、実はAさんに会いたかったから来てみた」
岸くんはそう言いながら隣のデスクに腰を下ろした。
「そ、そうなんだ…」
照れ隠しに、受け取った紙袋を開いてみると、中にはいくつかのドーナツが入っていた。
「ドーナツ！ありがとう。良かったら一緒に食べる？」
「うん。そうする」
「じゃあコーヒー淹れるね」
そう言って立ち上がった瞬間、急にめまいを感じて足元がふらついた。
とっさに岸くんが駆け寄って、体を支えてくれたおかげで、私はどうにか倒れずに済んだ。
「どうしたの？大丈夫？」
岸くんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「あぁ…ごめん。全然大丈夫。ちょっとフラッとしちゃっただけ。ありがと」
そうごまかして、私はコーヒーメーカーから２人分のコーヒーを淹れて席に戻った。
「本当に大丈夫？Aさん、ずっと休んでないしあんま無理しないでね」
「うん、ありがとう。私より岸くんやみんなの方が大変な時だもん。岸くんこそ体、気をつけてね」
それからしばらくの間ドーナツとコーヒーをお供に話し込んだ後、岸くんは「じゃあくれぐれも無理しないで」と言い残して帰って行った。
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さや(プロフ) - chihiropooh1123さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！ 頑張って続き書きます！！ (2018年6月11日 0時) (
レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
chihiropooh1123(プロフ) - 凄く楽しませて貰ってます。次回話楽しみにしてます。 (2018年6月10日 15時) (レス) id: 016550d6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SaYaKa | 作成日時：2018年6月2日 2時
