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______A。週末のデートに、どうやら行けそうにない。ごめん、
意識を落とす前に、真っ先に想ったのはAのことだった。
身体が冷えていく、自分が死ぬのだと解る。
きっとAは意地でも会場に来ない。
______あァ、良かった。かっこ悪いところを見せずにすんで。
重たい前髪に、無口な同じ寮の彼女。
よく見かけるのは、図書室の一番奥の席。
そこが彼女の特等席。
窓から西日が差した時、鬱陶しそうに前髪を上げた彼女がすごく綺麗で、夢中で蔵書の文字を追いかける君に、僕は心を奪われた。
「勉強教えてくれない？」って心臓をバクバクさせながら聞いた時の、怪訝そうな顔。
初めて見たの君の、新しい表情、僕は多分、ずっと忘れない。
僕はね、覚えてるよ。
「あなたって、みんなの前にいる時と私の前だと少し違うのね。気の抜け具合、というか、なんだろう」
僕の弱点を言い当てたこと。
完璧なセドリック・ディゴリーは、君の前だとただの魔法使いになってしまうんだ。
計算ミスはするし、ぽぅっとして物は落とすし、いつもの何倍もダメになってしまう。
Aに見抜かれたことが、嬉しいような、恥ずかしいような妙な気持ちが込み上げてきた。
だから思わず、君の瞳の上までかかった重たい前髪を上げて、
「……君の瞳、本当に綺麗だよ。色とか、形とか、そういうんじゃなくて、なんて言えばいいのかな。……ただ、すごく美しい」
って、つい口走った。
感情的になることは少ないのに。
君は困惑してたけど、眼を潤ませて今にも泣きそうだった。
悲しませたわけじゃないって、僕は思ってるつもりだよ。
夕暮れに染まった図書室で、周りの生徒はとっくに寮に戻ってて、あの時、時間が止まったのかと思った。
僕はもうおかしいくらいに君に惚れてるんだって、嫌でも分かったよ。
試合前に、マートルの元へ向かうAを見かけた。
予想通り、来てくれないんだな、とちょっと笑ってしまった。
今度の週末にデートに誘ってみたら、好感触だった。耳を真っ赤に染めながら「考えとくわ」と意地を張る君が可愛くて仕方なかった。
それが最後の君の姿なんて、思わなかったけどさ。
泣かないでよ、そんなに僕の名前を必死に呼んでさ。
______「っセド、リック、…セ、ドリッ…ク」
僕はもう、目を開けてやれないんだ。
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フォイの許嫁(プロフ) - どのお話も切な過ぎて泣きそうです.....😭 (4月21日 14時) (
レス) @page22 id: 8a6381d4ef (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - スピカブラックさん» 記載出来ていたつもりが、出来ていなかったようですみません。リクエストにお応えするつもりは今のところありません。遅筆ですし、不定期に気分で書いているので催促はやめていただけると嬉しいです。私の注意不足ですみません💦 (2022年11月14日 13時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - 霞さん» まだですか？ (2022年10月3日 8時) (レス) id: 7ca7b99cb8 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクエストでスネイプ先生書いて欲しいです！ (2022年9月21日 14時) (レス) id: 7ca7b99cb8 (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - どのお話も素敵で感動しました。これからも素敵なお話楽しみにしています。 (2022年9月21日 3時) (レス) id: e3d27a2b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2021年1月17日 23時
