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何の因果か、
「リーマス・ルーピン、」
額から血を流し、絶望の目をこちらに向ける1人の女性。
探していた、彼女だ、
「っ、A」
感極まって涙がこぼれそうなのを必死に堪える。
彼女の瞳は僕を見てほんの少しだけ、光が灯ったように見えた。
気のせいじゃないと嬉しい、
「なぜ、あなたが」
「こっちのセリフだよ、君が来るべきとこじゃない」
「私、…弱くないわ」
「それは僕が1番知ってるよ」
息も絶え絶え、城の柱の影に隠れて密談。
辺り一面戦場と化しているのに、僕らはまるで、まるで、
「随分穏やかに笑うのね」
「君に会えたから」
弾かれたように目線を上げる。
が、一瞬で目を伏せ、唇をぐっと噛む。
「…嬉しくないわ」
何もかも諦めたような言い草。
学生時代の彼女からは想像もつかない。
「…ねぇ、」
にじり寄ると同じ歩幅で距離を取られる。
動く度に額の血がダラダラと垂れ流れる。痛々しい。
「傷を治そう、」
「いいの、ここで死ぬわ」
「僕は君に生きてほしい、苦しいことから解放されて自由に生きてほしい」
「…早くパートナーのことに行ったら」
「君が特別なんだ」
ポロリと耐えきれなかった涙が彼女の頬を伝った。
漆黒で満ちていた瞳に潤いが溢れる。
血を流しながら、涙を零し、笑って言った。
「もっと、もっと早く欲しかったわ。その言葉」
それが彼女のどんな気持ちを意味してるのか、
僕だって分からないわけじゃない。
でも、もう言葉にすることは許されない。
「ずっと前から知ってたの、人狼だって」
淡々と告げる。
大好きだった赤い唇は青く紫色に変化している。
それでも好きだ、
「…そうか」
驚きもせず、狼狽えもせず、ただ答える。
それよりも僕を一心に見つめる彼女を目に焼き付けたかった。
「あのね、ルーピン」
「なんだい、」
「最期に逢えてよかったわ」
「僕もだよ」
「パートナーと幸せに」
「君もね」
力なく笑う、立っているのもままならなそうだ。
交わした言葉はまるで、学生の頃のように素っ気ない。
それでもそれで十分で、
十分満たされて、
十分幸せだった。
死に際を愛する人に見られたくない、
いつか彼女は言っていた。
だから後ろで聞こえた、ドサリッという音は聞かないことにした。
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フォイの許嫁(プロフ) - どのお話も切な過ぎて泣きそうです.....😭 (4月21日 14時) (
レス) @page22 id: 8a6381d4ef (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - スピカブラックさん» 記載出来ていたつもりが、出来ていなかったようですみません。リクエストにお応えするつもりは今のところありません。遅筆ですし、不定期に気分で書いているので催促はやめていただけると嬉しいです。私の注意不足ですみません💦 (2022年11月14日 13時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - 霞さん» まだですか？ (2022年10月3日 8時) (レス) id: 7ca7b99cb8 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクエストでスネイプ先生書いて欲しいです！ (2022年9月21日 14時) (レス) id: 7ca7b99cb8 (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - どのお話も素敵で感動しました。これからも素敵なお話楽しみにしています。 (2022年9月21日 3時) (レス) id: e3d27a2b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2021年1月17日 23時
