お見合い相手が泣き虫な金髪君だった

お見合い４０ ページ40

A「今日は何かお土産でも買っていこうかな」





任務が終わり、習慣となりつつある善逸さんの見舞い。


初日に怖がらせてしまったあの女の子にも、

謝罪の意を込めて甘いものを買っていこうと思った。




でも、手土産なんて初めてで、

何を買っていけばいいかわからない……。





A「甘いもの……みたらし団子」





その時、善逸さんと初めての逢引で食べたみたらし団子が頭をよぎった。



そうだ、それにしよう。


贈り物は、自分がされて嬉しいものというし。





A「すみません、みたらし団子を下さい」




店主「あら、綺麗な人ね。はいよ」





ちょうど見つけた店の中へ入り、店主にそう頼んだ。



「おまけしといたよ」と店主に言われ、

私は礼をのべながら団子が包まれた小包みを受け取る。





A「……喜んでくれるだろうか」





私は小さくそう呟いた。



善逸さんの笑顔が見れたらいいな……。


たくさん買ったから、

お世話になってる蝶屋敷の方々も食べれるだろう。




そう思い、歯がゆい気持ちで蝶屋敷へ向かおうと踵を返す。




その時だった。





A「！！！」





仲良さそうに微笑み合う男女が見えた。



いや、そんなはずない。


だって、彼は蝶屋敷にいる。

まだ外出を言い渡されるくらい回復はしてない。




それなのに……どうしているの、善逸さん。




いつもと変わらない眩しい金髪をなびかせた善逸さんが、

私の知らない可愛らしい女性と仲良さげに話をしていた。




いや、ただの談笑だ。


何を焦ることがある。




私はそう思って、自分の気持ちを落ち着かせようとした。



でも、女性の髪を笑顔で触る善逸さんを見て、

これがただの友人関係だとは思えなかった……。





A「嘘だ……」





手から小包みが滑り落ちる。




嘘だ、こんなの。


だって、善逸さんは私を……愛してくれていたはずだ。




でも、女性を見て私は落胆した。



綺麗で可愛らしい女性だった。


女性らしい格好をして、笑みを浮かべて。



女らしくない無愛想な私よりもよっぽど魅力的だ。





A「……苦しい」





息が詰まるほど胸が痛い。



これが、これが恋なのか。




私はいつからこんなに脆くなってしまったのか。

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