お見合い相手が泣き虫な金髪君だった

お見合い１６ ページ16

A「申し訳ありません！」





私はそう言って、善逸さんから手を離した。


なにしてんだ、この邪な手よ。

いっそのこと切り落としてやろうか……。




＿＿＿＿＿くいっ




だが、離したその手を握られた。



私は顔を上げて善逸さんの顔を見る。


その顔は赤く染っていたが、男らしさがあった。





善逸「……着くまで繋いでもいい、かな？」




A「……はい」





善逸さんの震えたその手を振り払う気になれなかった。



少し近づき、手を繋いで歩く。


屋敷までの道のりをそうやって歩いていた。

……先程よりもゆっくりと。




そして、屋敷についた。



私は任務があるのでそちらへ向かうし、

善逸さんはまだ怪我が治っていないので暫く泊まる。




善逸「今日はありがとう！とっても楽しかったよ！」





善逸さんはそう言って、照れたように笑う。





A「私も……楽しかったです」





私は震えた声でそう言った。


善逸さんは私の言葉に嬉しそうに微笑む。



その笑顔が見れて、私は満足だった。





善逸「次も……会ってくれるかな」




A「……はい、是非」





私はそう言って、善逸さんの顔を見る。


善逸さんは「良かった」と言って、嬉しそうに笑っている。





A「では、私は行きます」




善逸「うん、またね」





私はそう言って、善逸さんから手を離した。

そして、踵を返して歩き出す。



……繋いでいた手が、足りなくてどこか寂しく感じた。





善逸「Aさん！」




A「？」





名前を呼ばれ、私は振り返る。





善逸「俺！Aちゃんの信頼できる男になるからっ！！」




A「！」





善逸さんの言葉に私は目を見開く。



……分かってたんだ。

私が嘘をついていたこと。


それを知らないフリしてくれたんだ。

私のために。





A「文を、文を書きます！」





私もそう叫んでいた。

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