すれ違い、愛し合い。

26 ページ26

.






「おかえり」


『ただいま、すぐ準備するね』


「ゆっくりでいいよー」









家に帰ると既に準備を終えた先輩が居た。




なんか普段と違って全身かなりキマってる。









.









.









『…すごい、こんなところ予約してくれたの？』


「うんっ、Aの喜ぶ顔見たかったの」


『なにそれっ』


「嬉しい？」


『うん！ありがとうっ』







先輩が予約してくれたのは
高級ホテルの最上階にある有名なレストランで。




夜景も最高だし、個室みたいに
ブースが区切られてるから何より落ち着く。









.









コース料理も絶品で
久しぶりにこんなに美味しいもの食べたな。









.









.









コースのデザートも食べ終わり
ちょっとお高めのワインで2人で乾杯した。









「A」


『なに？』


「実は今日、Aに大事な話があるんだ」









先輩の言葉と、その表情で
これから何が起こるのか何となく察してしまった。









.









「俺さ、来月転勤が決まった」


『…えっ？』


「福岡に行くことになってね、出張じゃなくて
これからは福岡に勤めることになる。」


『随分、急だね？』


「前々から言われてはいたけど、
確定してなくてね。だから言わないでおいた。
俺はこっちに残ることを希望してたし。」


『そうなんだ』


「それでね？けじめというか。
Aにちゃんと伝えようと思って」


『うん…っ』


「俺と結婚してくれませんか？」









ついに先輩からプロポーズをされた。



正直、転勤は想定外すぎたけど。









「俺と結婚して一緒に福岡に来てくれたら嬉しいけど、そこまでは求めない。Aも仕事あるし、残りたいならしばらくは、そのままでいいかなって。」








目の前に出されたキラッキラな指輪が
今のこの状況をより強調させてくれている。






.

27→←25

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す