すれ違い、愛し合い。

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仕事中もソワソワして仕方なかった。




宏光と喋る機会がありませんように、って。









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私が仕事を終えた時には宏光の姿はなくて。








▶近くの公園で待ってる





って、連絡が来てた。









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どんな顔して会えばいいのかわからない。





けど覚悟を決めて、公園へと向かった。









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ベンチに座っていた宏光が私に気づき
こっちに向かって歩いてくる。









「仕事、お疲れ様」


『うん、宏光も』








いつもとは違う雰囲気に、心が痛んだ。



前は“仕事おつかれ”って乾杯してたのに。









こんな、しんみりした空気初めてで。









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ポッケからリングを取り出した宏光は
私の右手を取り、薬指にリングをはめた。









そして、その手を掴んだまま





「昨日はごめん。
俺、本当はずっとAの事が好きだった」






その言葉に泣きそうになった。



だって、指輪を見つめる表情があまりにも悲しそうで。









「最後に嫌な思いさせて、ごめんな？」






今度は私の顔を見て言う。









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「わざわざ来てくれてありがとう。
気をつけて帰れよっ。…じゃあな」









その“じゃあな”が、また明日ねとかではなく
私たちの関係の終わりを告げられてるみたいで。









どんどん小さくなる宏光の後ろ姿を
ただぼーっと見つめていた。







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