Momizi's story ページ39
2006年___
私の周りには変化がない。
1日中ボーッと過ごして死までの時間を浪費する。
考えるのは自身の娘のことばかり。
その日も丁度Aのことを考えていた。
「…見た目は元気そうだな」
死ぬまで開かないと思っていた襖がいとも簡単に開け放たれて。
『…甚…爾。なんで』
甚爾「あ?暇以外でお前に会いにくる理由なんてないだろ」
『相変わらずムカつくな』
甚爾は襖を再び閉めて、私の右手側で胡座をかいた。
甚爾「あいつには…Aには会ったのか」
『ううん。この部屋に貼られてる札見たら分かるでしょ。呪力を持ってる人間がこの部屋に入れば私は死ぬ。そんなことしなくてももうすぐ死ぬのにね』
だから甚爾に会えたことは、彼が呪力を持っていないことは、不幸中の幸いだった。
『もう私はAには会えないよ』
甚爾は驚くこともなく、かと言って私に同情の目を向けることもなかった。
とても甚爾らしい。
『死んだら甚爾にも会えなくなるのか。清清するような、寂しいような』
昔から…蒼社の定めから逃げられないと悟った瞬間から決めていた。
甚爾に私の気持ちは伝えないと。
伝えたところで結ばれるとは思っていなかったし。
甚爾「別れのキスでもしてやろうか?タダで」
『本当そういうとこが最低だよお前』
私の気持ちも知らないで。
甚爾「…紅葉、お前俺のこと好きだろ」
『…………』
茶化すわけでもなく、至っていつもの様子で投下された爆弾に私は固まるしかなかった。
甚爾「分かりやすいな」
悪人ヅラで笑う甚爾に、すぐ反論することも叶わず。
『悪いか。想うだけなら勝手でしょうが』
ようやく言い返せたのは数秒後。
甚爾「そうだな」
8つも年下の甚爾に恋をしてしまった時点で、私の運命は決まっていたのかもしれない。
『やっぱりキス、してくれる?』
笑いながら言った私に甚爾は目を見開いて。
『自分から言ったくせに何だよ、その反応は』
基本女なら誰でも良さそうな甚爾に断られたら流石に傷付くなと思いながら、彼の返事を待った。
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よっちゃん - すきすぎたやばいですね。。。。。。別の作品も頑張ってください (2021年2月6日 3時) (レス) id: 7291101692 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます!アリスのことを好きになっていただけて作者は嬉しいです…レネットさんの心を満たせるような小説を書けていたなら心から良かったと思います(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 最初読んだとき、アリスちゃん嫌な奴だな…と思ってたけど最後まで読んだらアリスちゃんを好きになっしまった…。そして七海のハンカチを差し出すという紳士的な振る舞いがカッコよすぎて心が満たされました。面白かったです。ありがとうございます。 (2020年12月31日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ccndayoさん» コメントありがとうございます…!とても嬉しいです。ccndayoさんの好みに合う小説を書けていたなら、良かったです(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月28日 12時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
ccndayo(プロフ) - 読ませて頂きました。もうホントに素敵すぎて途中途中感情移入しちゃって涙が出ました。小説も夢小説もたくさん読んできましたが私のどタイプな内容でした…。素敵な作品をありがとうございます (2020年12月27日 22時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年12月1日 16時