七十八 ページ33
Aside
静まり返った学長室には私と夜蛾先生だけ。
よく同席する悟でさえも今日はいなかった。
夜蛾「…有栖院扇の居場所が割れた」
『どうしてそれを私に?』
夜蛾「それはAが1番よく分かっている筈だが」
私は彼女に__有栖院扇に嵌められ、奇跡的に助かったとはいえ殺されかけた。
夜蛾「有栖院は現在単独で行動している。…ここまで言えば分かるな?」
『私に彼女を捕らえろ…と?』
夜蛾「上は殺してもいいと判断を下した」
上層部は腐ったミカンのバーゲンセールだと以前悟が言っていたが、そう言われても仕方がないと今思った。
『…このこと、悟には?』
夜蛾「伝えていないが、Aが伝えたいなら好きにすればいい」
『じゃあ言いません』
婚姻する気はなかったとしても、有栖院は元々悟の婚約者。
それに有栖院も好きな相手に知られたくはないだろうと、彼女からすれば余計なお世話だと言われそうな配慮をすることに決めた。
学長室から出た私を待っていたのは眠そうな悟。
五条「何の話だった?」
『今後の任務量について確認をしてた』
五条「…A、嘘下手になったよね」
『嘘じゃないんだけど…』
苦笑しながら言えば隠すなよと腕を掴まれる。
五条「…君に何か隠し事をされるのは嫌だし、ムカつく」
『傑君が死んだ時、悟は硝子ちゃんに遺体の処理をさせなかった』
五条「それと今の話に何の関係があるんだよ」
『私が本当のことを話さない理由はそれと一緒』
五条「は?」
怪訝そうな表情をした悟から離れて、時刻を確認すれば16時を過ぎたばかり。
夜蛾先生は明日でも構わないと言っていたけど、私は早々に彼女に会ってしまいたかった。
『…21時には戻るよ。もし戻って来なかったら、その時は助けに来てよ』
場所も告げずに助けに来てよなんて自分勝手にも程があったが、彼であればすぐに私を見つけてくれそうな気がして。
五条「…僕にそんなこと言うのはAくらいだよ」
彼は色々変わったけれど、不服そうな時の表情は昔と変わらない。
そんな彼にお願いしますと念押しをして、私は高専を出た。
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よっちゃん - すきすぎたやばいですね。。。。。。別の作品も頑張ってください (2021年2月6日 3時) (レス) id: 7291101692 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます!アリスのことを好きになっていただけて作者は嬉しいです…レネットさんの心を満たせるような小説を書けていたなら心から良かったと思います(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 最初読んだとき、アリスちゃん嫌な奴だな…と思ってたけど最後まで読んだらアリスちゃんを好きになっしまった…。そして七海のハンカチを差し出すという紳士的な振る舞いがカッコよすぎて心が満たされました。面白かったです。ありがとうございます。 (2020年12月31日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ccndayoさん» コメントありがとうございます…!とても嬉しいです。ccndayoさんの好みに合う小説を書けていたなら、良かったです(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月28日 12時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
ccndayo(プロフ) - 読ませて頂きました。もうホントに素敵すぎて途中途中感情移入しちゃって涙が出ました。小説も夢小説もたくさん読んできましたが私のどタイプな内容でした…。素敵な作品をありがとうございます (2020年12月27日 22時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年12月1日 16時