ぶりっ子VS最強__延長戦

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私の母はそりゃあまあ可哀想な人でした。




心から愛した人を知らない女に取られ、私というお荷物を一人で育てることになり、詐欺には月一のペースで引っ掛かるようなマジで同情せざるを得ない人。




そんな母は私に“イケメンな金持ちがいたら好きでなかろうと結婚しなさい”と常々言っておりました。




“幸せになりたいなら、ぶりっ子になりなさい”という今の私を構築することになった言葉と同じくらい常々。




学生時代は母の言う通り、好きでなかろうと顔が良くて金持ちだったら結婚しようと息巻いておりましたよ、えぇ。




だからこそ五条君に猛アタックしてましたから。




でも最近は。




『五条君って毎日私のこと好きって言ってくれてたの。私が顔と財産しか好きじゃないって言ってても』




夏油「悟よりAの方がよっぽど屑だね」




『黙ってお聞きなさい』




言われずとも分かってるよ。さっきはムカついてしまったから、私がクソなら五条君もクソって言っちゃったけど。




『申し訳ないって思うようになっちゃって。純粋に好きで結婚しようって言ってくれてるのに、私は顔と金のことしか考えてない。…結婚するならちゃんとお互いに好意を持ってる状態でしたい』




夏油「それってつまりは悟のことを現段階では好きじゃないってことだろう」




『……そう…なる…けど』




そもそも好きってなんだ。五条君の顔面を見た時のような気持ちのことか。




そうだとしたら私、五条君に恋したらすぐ死ぬと思う。




顔見るだけで心拍数馬鹿みたいに上がるからね。心臓が疲れてすぐお陀仏です。ハハッ☆




『…って、私の話はどうでもいいんじゃい。私が聞きたいのは夏油君の誤解を招くあの言い方！！』




キスを教えてたなんて百人に聞かせたら八十人くらいは勘違いしそうなんだけど。だってＫｉｓｓだぜ？




あ、でも魚のキスについて教わってたって言ったら、もしかするとなんとかなるかもしれない。




(あ"？何？お前俺にぶっ殺されたいわけ？)




……いや無理だな。殺される未来が容易に想像出来る。




夏油「誤解を招く言い方をする理由なんて一つしかないと思うんだけどな。少しは自分の頭で考えたらどうだ？弩級の馬鹿」




『弩級の馬鹿に考えさせる君の方が弩級の馬鹿なのでは？おっと悪い癖が。…いやん、やめて。殺さないで。まだ死にたくない。キャルン♡』




夏油「オェ」




『バルス』

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