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No side
五条「ヒュッ……」
蓬桃奈、家入硝子の二人と深夜まで飲んだ翌日、言葉とも呼吸とも取れない変な音が五条の口から洩れた。
起きた瞬間から痛みの主張をしてくる頭を押さえた彼の視線の先には服を着ていない蓬の姿。
自分自身は服を着ているが、だからといって何もなかったとは断言出来ない。
寧ろここが蓬の家であることから、何かしらのことは起きてしまったのだと考える方が自然である。
昨日の記憶がない時点で五条悟は詰んでいた。
蓬「悟…?」
掠れた声で自身の名を呼び、蕩けそうな目で見てきた蓬は、学生時代の如月Aを髣髴とさせた。
目の前にいるのは蓬なのに、此処にはいない如月のことを思い浮かべてしまった五条はその端整な顔を歪める。
此処に如月がいたのであれば、“どんな表情をしてても五条君はイケメンだねぇ…”とうっとりしながら言うだろう。
五条「…桃奈、頼みがあるんだけどさ」
蓬「ん?」
五条「昨日、僕との間にあったことは忘れて欲しい」
蓬「…朝からサイテーだね。っていうか記憶ないのにそういうことしたって分かるの?」
五条「それ自分の姿見てからもう一度言ってみ?」
裸で眠る異性が隣にいれば誰しも思う筈だ。
やっちまったと。
五条「素面なら有り得ないとしても、酔った僕は桃奈とそういうことをし兼ねないんだよ。そう思えるくらいには自分の性格が良くないことを知ってる」
蓬「本当にね。素面なら有り得ないって。酷くない?」
結婚する相手がいるのに他の男とキスするなんてマジクソ女とか言っていた本人が、キス以上の行為をしているのだから世話がない。
五条「有り得ないよ。今はA以外とそういうことする気にはなれない」
“しかしそれは素面の場合に限る”という注意書きが後付けされてもおかしくないようなことを述べた五条に蓬は溜め息をついた。
蓬「…まぁ、丁度良いんじゃない?」
五条「は?何が」
蓬「“押してダメなら引いてみろ”よ」
蓬の言葉に五条は怪訝そうな表情を浮かべながらも、首を傾げた。
そして彼は気付いていない。
思い込みの連鎖は続いているということに。
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chiaki0708(プロフ) - テンポよく最後まで楽しく読みきれました!!また作者さんの違う作品も見に行きます! (2022年1月9日 9時) (レス) @page39 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
七不思議零番たんでち - 作者さん!!!!これは御願いなのでやらなくてもいいんですが… 後日談(仲良し一年ズも出てくる)つくってほしいです!!!! 素晴らしい作品をありがとうございました!!!! (2021年4月3日 3時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
柿助 - 完結おめでとうございます!作者様が書く夏油の切なげな恋が大好きでした!お疲れ様でした! (2021年3月31日 7時) (レス) id: fedb05499d (このIDを非表示/違反報告)
るーり - 完結おめでとうございます!なんだか、とても楽しめるお話でした!!作者様、最高!!! (2021年3月22日 14時) (レス) id: 7ac2a7ec47 (このIDを非表示/違反報告)
宮夢(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!次回作も楽しみにしています! (2021年3月21日 15時) (レス) id: 84aaee8034 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月24日 18時