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五条side
“それでは。仙台土産買ってくるんで期待して待ってて下さいね”と言った後ろ姿を見送る。
彼女が僕の方を振り返ることはなかった。
それが少し…本当に少しだけ僕に不快感のような何とも言えない感情を抱かせる。
輪禍A。
名前以外の全てが謎に包まれている存在。
そもそも輪禍Aという名前すら本当のものなのかどうか疑わしいと上の連中は言っていた。
輪禍の性を持つ家系は呪術界に一つしか存在しないが、輪禍の家にAという名の女はいないというのが彼らの答えだった。
正真正銘の
彼女を危険だと騒ぎ立てるのは、今となってはもう上の連中だけになった。
それだけ彼女の振る舞いが、笑顔が、“危険な存在”からかけ離れていたから。
京都校にいる呪術師はどうか知らないけど、少なくとも東京校にいる、若しくは出入りする人間にとって輪禍Aは一人の呪術師で、誰もが彼女を認めている。
中には上の連中と同じでさっさと殺すべきだとか言う腐ったミカンの予備軍もいるけど、それは少数だし、実際に殺そうとするような奴はいない。
それは僕や七海に目を付けられるのが嫌だからというのもあるだろうけど、一番はAのことを何一つ知らないからだろう。
五条「…ま、それは僕も同じか」
軽く溜め息をついてAとは逆の方向に踏み出す。
Aはここ三ヶ月、一度も術式を使っていない。
三ヶ月前、彼女を恐れて消そうとした上の連中が、実力を測る為だとか
僕が気付いた時にはもうAは高専にいなくて、慌てて駆けつけたことを今でも覚えてるし、祓わせに行かせた奴を殺そうとしてAに止められたっけ。
で、結果は言わずもがな。
Aは術式なしで二級呪霊を祓える実力を持っている。
六眼でも彼女の術式は分からないし、これは僕だけに限った話じゃないけど、呪力量も分からない。
それどころか、術師特有の気配もない。
Aのことを僕は全然知らない。
けど守ってみせる。僕の大事な生徒だから。
五条「…もう絶対……」
_____死なせない。
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緋雪(プロフ) - 大好き過ぎて定期的に見てます泣泣泣 (2023年3月30日 3時) (レス) @page32 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 刹葉さんの作品大好きです!!以前のぶりっ子のお話もとっても好きでしたが、今回のお話の五条先生もとっても好きでした!! (2022年2月10日 18時) (レス) @page32 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
jyjy - ガチ泣きしました…… すっかり作者様のファンです! (2022年1月29日 19時) (レス) @page32 id: 2ce4079fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…。感動しすぎて。作者様は本当に神ですね。どの作品も本当に面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月21日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 泣いてしまいました…! 続編が欲しいと思うのは私だけではないはず! (2021年3月21日 18時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月23日 13時