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2008年____
『………死なずに済む条件は?』
霞んできた視界。荒くなる呼吸。
どれだけしんどくても彼の話は聞かなくちゃならない。
(まず一つ目は君が私の存在を許容すること。輪禍の人間が代々私と契約することになっているのは私の存在を消さない為。そして私が人間に害を加えないようにする為でもある)
“呪物と術師が交わす縛りと同じようなものだね”と彼は付け足した。
(私の存在を許容するということはつまり、私が人間に干渉する力を得るということ)
人間に干渉するなんてややこしい言い方をしているけれど、用は人間に害を加えることが出来るようになる。
(とは言っても私は人間に害を加えるつもりはないよ。なんたって面白くないからね。何処ぞの呪いの王は鏖殺を好むというけれど私には甚だ理解出来ない。趣味が悪すぎる)
彼が言っている呪いの王が両面宿儺を指す言葉だということはすぐに分かった。
輪禍家は古くからある家系で、その輪禍家と契約を交わしてきた彼も昔から存在している。
だから彼は両面宿儺を知っているのだろう。
(二つ目の条件は……というかこれは条件というよりデメリットと言った方が正しいかな。君が人生をリスタートさせた時点で世界は君を忘れる)
『……は?世界が…私を忘れるって…意味分かんないんだけど』
(そもそも君が死なずに済むのは輪禍Aという人間を私の力でこの世に存在しなかったことにするからだよ)
理解出来ていない私に彼はゆっくり説明し始める。
(この世に存在しないものに生きるとか死ぬとかの概念はないからね。世界から忘れ去られるということは存在しないのと同じだ。簡単に言えば君は誰の記憶にも残らない。存在の証明すら出来なくなる。それがデメリット)
『そんなこと出来るわけ…ない。世界中の人間が私を忘れるからってそんな…馬鹿みたいなこと…』
(出来るんだよ。この世に呪霊という存在がいる時点で不可能ではないのさ。どうする?残る時間は僅かだけれど。このまま死ぬかい?…それとも)
『……死にたくない。アイツが私を忘れても、私が覚えていればいい話だから』
(じゃあ契約成立だ、A)
そうして私は二度目の人生をスタートさせた。
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緋雪(プロフ) - 大好き過ぎて定期的に見てます泣泣泣 (2023年3月30日 3時) (レス) @page32 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 刹葉さんの作品大好きです!!以前のぶりっ子のお話もとっても好きでしたが、今回のお話の五条先生もとっても好きでした!! (2022年2月10日 18時) (レス) @page32 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
jyjy - ガチ泣きしました…… すっかり作者様のファンです! (2022年1月29日 19時) (レス) @page32 id: 2ce4079fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…。感動しすぎて。作者様は本当に神ですね。どの作品も本当に面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月21日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 泣いてしまいました…! 続編が欲しいと思うのは私だけではないはず! (2021年3月21日 18時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月23日 13時