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五条side
先に写真を見たのは硝子の方だった。
家入「え……嘘でしょ…?」
五条「何?どしたの?幽霊でも写ってた?」
家入「幽霊じゃない。…でもそれに近いかも」
硝子は恐怖を感じているというよりもただただ驚いていると言った方が正しいような表情をしていて、気になった僕は立ち上がり、硝子の持っている写真が見える位置まで移動した。
五条「…………は…?」
そこに写っていた第四の人物を僕も硝子もよく知っている。
五条「A…?なんで?」
写真に写るAは今と変わらない容姿で、僕と肩を組み楽しそうに笑っていた。
五条「なんだよ、これ」
家入「私に分かるわけないだろ。Aと写真なんて撮った覚えないし、そもそもこの写真は十年以上前の…」
《私十年前に死んで、気付いたら当時の姿のまま現在にいたんですよ》
不意に思い出したAの発言。
《私が本当は今年で二十九だって言ったらどうします?》
有り得ない。僕が考えていることは現実味なんて欠片もなくてフィクションで塗り固められた物語でしか起こりえない事象だ。
有り得ないと分かっている筈なのに、僕はその考えを口にした。
五条「もし…もしだよ?何かの拍子に僕らがAのことを何もかも忘れていたのだとしたら…?」
家入「そう仮定したとしてもおかしいだろ。十年前と全く容姿が変わらないなんて」
五条「……この前Aが言ってたんだよ。自分は十年前に死んで、気付いたらその時の姿のまま現在にいたんだって。今の今までそんなこと信じてなかった。でも事実だとしたら今の状況に納得がいく」
僕がAに対して言葉では形容し難い感情を抱くのも、知らない筈のことを知っているのも。
家入「…だとしたら。五条の言っていることが本当で、私達がAのことを忘れているとしたら、その理由は?」
五条「そんなの僕達に分かるわけないでしょ。…とにかく僕はAに確認してくる。写真貸して。これを見せれば言い逃れは出来ない」
家入「必死だな」
五条「そう見える?」
家入「…不思議と昔にもこんな光景を見た気がする。はっきりとは思い出せないけどね」
僕もそんな気がするよ。
必死で何かを捜していたような…どうしても思い出せないのはAに関係しているからなのかと頭の片隅で思った。
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緋雪(プロフ) - 大好き過ぎて定期的に見てます泣泣泣 (2023年3月30日 3時) (レス) @page32 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 刹葉さんの作品大好きです!!以前のぶりっ子のお話もとっても好きでしたが、今回のお話の五条先生もとっても好きでした!! (2022年2月10日 18時) (レス) @page32 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
jyjy - ガチ泣きしました…… すっかり作者様のファンです! (2022年1月29日 19時) (レス) @page32 id: 2ce4079fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…。感動しすぎて。作者様は本当に神ですね。どの作品も本当に面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月21日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 泣いてしまいました…! 続編が欲しいと思うのは私だけではないはず! (2021年3月21日 18時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月23日 13時