�� - 006 本当に必要なことを、今すぐにせよ ページ50
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「───行ってきます」
黒い隊服。紅色の羽織。鋼鐵塚より貰った刀を腰に差し、右手首には紅のりぼん。同じく紅の細やかな髪は三つ編みに纏めて腰の上あたりまで垂らす。
両の耳朶から下げられた銀色の耳飾りに今にも泣きそうな義勇の顔と、眉を下げつつも微笑む錆兎の顔が映っている。今日はいよいよAがこの狭霧山をたつ日である。
鎹鴉から告げられたのは初任務の詳細だった。
「南南東ニアル街ニ向カッテクダサイマセ……！ A様ノゴ無事ヲ祈リマス……ッ！ マ、街ニ着イタラマズ、"悲鳴嶼行冥"トイウ剣士ト合流ナサッテ下サイ！」
めちゃくちゃ恋する乙女であった。ふにゃふにゃしながら赤くなってどもりどもり話す。Aの目を一度も見なかった所など、かなりの惚れ込みっぷりだった。初対面の際にAが「可愛らしい目だ」と白百合の白い目玉を褒めたのが原因とは思われる。
白い目玉なんて不気味だ。変だ。気持ち悪いと言われることも多かったので、それを真正面から打ち砕いてくれたAに心臓を持っていかれたのだろう。
と、鴉の説明はよしとして。
義勇が目尻を乱暴に手の甲で拭い、にっと笑った。
「うんっ行ってらっしゃい、A」
「俺たちもすぐ追いつく。待っててくれ」
「嗚呼勿論……。楽しみにしている」
微笑む。二人の頭を存分に撫でてから、堪らず抱き寄せた。腕の中で慌てる二人は構わず、今だけは我儘を許して欲しいと切に願って、ふたつの肩に顔を埋めた。
「大好きだ」
二人の顔が真っ赤になってもAからは見えない。
鱗滝にも抱き着く。と頭を撫でてくれた。雲柄に頬擦りをしてから体を離した。
「じゃあ」
手を振り続けた。その輪郭がぼやけても尚。三人の顔が見えなくなってもずーっと手を振り続けた。彼らも手を振っている気がしたから。
腕が痺れてから手を下ろした。振りすぎてしまったかと一人微笑む。手首のりぼんを愛おしげに撫でたAはくっ、と前を向いて背筋を伸ばし、きりきり歩き始めた。
──鎹鴉の言葉通りに進むと件の街に辿り着いた。立派な橋がかかっている。家々も沢山ある。人通りも多く、所狭しと並ぶ店の数々は活気を感じさせた。
(いい街だ。ここに鬼が出るのか？ そうだ、確か白百合が言うには)
「君が……要登Aか」
そうだ。と頷きつつ振り返ると筋骨隆々な青年が立っていた。あぁ、とAは微笑む。
「では君が」
「悲鳴嶼行冥という……」
【一幕目ノ終】
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
